◆ヴィンテージライター READY-TCW 1930年代 オーストリア製
◇画像が実物、1930年代アールデコ調のヴィンテージライター。
構造的には手に挟み込んで着火させる、戦後のロンソン社SQUEEZER
(スキーザー)やIMCORONAと同じで、その先駆けとなったモデルです。
オイルタンク部は分離・抜出し式。トップ・ウィック部を外してオイル注入
する構造です(画像:4)。
注:):オイルタンク、ウィックは当時のままの状態です。
古いオイルライターに理解があり、メンテナンスを行えるユーザーさん用
です。
この類のタンク分離型はIMCOや他のオーストリア社製と同じです。
タンク底面にモデル名、メーカー販売元刻印されるのが一般的で、本体
部は何もなかったり、わずかなスペースに小刻印されているのが普通で
したが、このライターは側面にTCW刻印されています(画像:5,6)。
◇刻印についてさらにもう一つ。
このライターモデルはTWC刻印とKB刻印の2種類あり、外観のデザイン
を違えています。
自社販売の製造品にはKB刻印、製造委託された販売商社用にはTCW
刻印(参照:画像10、上が出品物のタンク、下部は比較用参考品)。
また、TCW印はPATENT AUSTRIA, KB印はPATENT GERMANYになって
います。
1930年代のヒトラー政権によるオーストリア併合でAUSTRIA国の名称禁止
によって変えざるをえなっかたわけです
ヒトラー政権下での第2次世界大戦によって、ライター業界は滅茶苦茶状態
になり、創業者やオーナー一族が亡命、自死、消息不明となり、戦後になって
再興したメーカーとしてはドイツのIBELO-MONOPOL、オーストリアのIMCOが
代表例ですが、どちらも従業員たちの手で復活を果たしました。
(IBERO創業者は英国亡命、英国でコリブリ・ライターを起ち上げ)。
しかし、このKB刻印のものは創業者消息不明で消滅。ライターだけが当時の
名品として歴史に残っているだけです。
◇作動・発火、確認済み:
フリントは長め(5mm)のウィンドミル社やロンソン社製が適しています。
ウィンドミル社製フリント5石シートを同梱。
◇本体は真鍮、ニッケルめっき加工。
サイズ:縦横幅順(約)5.5x3.5x1.2cm/重量45g
底面部刻印:READY/PATENT AUSTRIA TCWロゴマーク(*)
TCW社は工学系メーカー兼総合商社で輸出販売元、委託した
実際の製造者はアロイス・カウフマン(A.KAUFMANN,個人名)。
◇配送方法:ヤフネコ!ネコポス
硬質紙又はティン・ケースに収納して配送します。
◇参考画像9の図):
英国特許庁への申請書(英文の抜粋)、
他に仏独スイス・米国での特許登録記録書が残存します。
(*)AUSTRIA TCW社
世界で初めてフリント(=発火石)を作り出した科学者が創業
したウィーン市の化学・電機工学製品メーカー。
1910年~1950年代、多数のライター製造職人・工場に製造
委託し、TCWマーク刻印入りで販売、輸出した。
現在は"TREIBACHER INDUSTRIE AG"に社名変更。
メイン事業ではないが、フリント石製造は継続されており、
現在もデュポン社などにOEM供給している。