◎ローラ・ニーロ "NEW YORK TENDABERRY"(1969年)/デヴィッド・ガー(David Gahr)撮影による未公表写真/オリジナルの35ミリ・ネガフィルム使用による光学式(アナログ)銀塩プリント
◎サイズ: 41.0 x 27.0cm(写真画像実寸・半切相当)/56.0 x 41.0cm(木製額外寸)
☆☆☆本品は現在では極めて少なくなった写真ラボの熟練職人が昔ながらの手作業で焼いた銀塩プリントです。ネット上で市販されている画像データやブロマイドなどの既存の印刷物から複製したものでは絶対ありません。
★★★撮影したカメラマンは米国の音楽業界におけるアーティスト写真撮影の先駆けであるデヴィッド・ガー(故人)。彼はノーマン・シーフ、ヘンリー・ディルツ、エリオット・ランディーらより一世代上で、特に60年代中期から70年代中期に、ポピュラー、ロック、カントリー、ジャズ、ブルースなどの音楽界全般に亘って後にビッグ・スターとなるミュージシャンを多く撮っており、ロックではビートルズ、ディラン、ザ・バンド、J.ジョプリン、ジミヘン、クラプトン、スプリングスティーン、パティー・スミスなど、彼らのデビュー期の稀少な肖像写真を残しています。本人は2008年に85歳で亡くなっており、遺された膨大な数のフィルムの管理は現在同じく写真家である彼の娘さん(Carla Gahr)が行なっているようです。
★★★ローラ・ニーロについては、1969年にサード・アルバム『ニューヨーク・テンダベリー』のLPジャケに使われた写真を始めとして、以後2、3年ほどの間にN.Y.の彼女の住まいやその近辺で撮られた画像に大変貴重なものが多くあります。
★★★ローラが当時の自宅アパートのバルコニーに佇むこの写真は、これまで音楽雑誌等の他どのようなメディアでも全く公表されていないもので、彼女の服装と背景からすぐ判るように『ニューヨーク・テンダベリー』で使われた上向きで目を閉じているポーズのものと同じ時に撮られた一枚です。
★★★ファンならご存知のとおり、このアルバムのLPジャケの表(おもて)面の写真はリリース当初別の写真家(マイケル・オクス)が撮影したもの(ローラが愛犬と一緒にバルコニーに座っているのを遠くから撮ったカラー写真)が使われ、そのジャケが小部数ながら誤って市場に出回ったため、今日ではローラの最も稀少なコレクターズ・アイテムとして高値で取引されています。
★★★ジャケ写真が直ぐにガーの撮ったものに変えられた詳しい経緯は分かりませんが、2002年に発刊された現在までで最も詳細なローラの伝記本『Soul Picnic』(ミシェル・コート著)によれば、彼女自身の要望であったのは間違いないようです。また、撮影データによれば、ガーがこれらの写真を撮ったのはアルバムがリリースされる約半年前の1969年の3月4日で、この時点では特にジャケ用として想定されたものではなかったと思われ、単にこれ以降ガーとの付き合いが親密になったことが理由なのかもしれません。
★★★ガーがこの時撮影に使ったフィルムはモノクロ35ミリのみで、以前それらのベタ焼きを見た記憶では36枚撮りで5、6巻程度だと思われ、リバーサル(カラー)フィルムの用意はしていなかったことから推察して、初対面での挨拶代わりのフォト・セッションだった可能性が高いと思います。ただ、結果的に3月初旬のニューヨークの寒空の下で撮られた一連のモノクロ・ショットが、アルバムのイメージに大変マッチするものだとローラが判断したと考えるのが自然だとも言えそうです。
★★★この未公表写真は、ジャケで使われたもの(前述の上向き目閉じポーズ)と同じ巻にあり、当方自身がそのベタ焼きとネガ・フィルムの実物を見て確認したところ、ジャケ写真は5コマ目で、20コマ目の本写真までの17点は上半身をほぼ同アングルで連続撮影したものでした。そこでちょっと意外だったのは、17点の中であの印象的な上向きポーズの画像はジャケで使われた一点しかなかったことで、あれはローラの気持ちを変えた正に唯一無二のショットだったと言えるかもしれません。
★★★そして、本写真もまたジャケ裏面に使えば良かったのではないかと思えるほど秀逸な一点で、当日に撮られたショットの中で間違いなく5指に数えられる素晴らしい画像だと思います。春先の冷たい風が吹くテラスをバックに、穏やかながらも少しアンニュイな感じのするローラの表情は『上向き目閉じ』写真と対を成すような絶妙さで、これが何故一度も本プリントされず未公表だったのか不思議なほどです。
★★★本写真は、これまで内外のオークション等に出品されたローラ・ニーロの稀少アイテムの中でもおそらくトップ・レベルの逸品だと自負しています。現在、この写真を『半切サイズのアナログ銀塩プリント』で所有しているのは当方だけです。しかもオリジナルのネガ・フィルムはガーのラボにはもう残っておらず、デジタル・データ化も成されていないと思われますので、今後も他で陽の目を見る機会は無いでしょう。
★★★さて写真業界は、今日カラーもモノクロもほぼ完全にデジタル化されており、特にモノクロ写真の場合、ネガ・フィルムを使った旧来の『光学式の焼き付け』の実作業は、もはや古い専用設備を残す僅かな個人ラボのレベルでしか行われていないのが現状です。写真家や大手現像所によるサポートにも限界があり、フィルムの生産が終わるとともに現像設備やケミカルな材料も消滅し、世界的にも近い将来アナログ銀塩写真の作成は不可能になると言われています。画像の諧調などの精度では最新のデジタル写真は優れていますが、アナログ銀塩写真の独特な深みのある画像はヴィンテージ写真の愛好家ならずともお分かりいただけるはずで、耐久性も大変優れているためその終焉を惜しむ声が多くあります。
★★★本写真は印画紙だけは旧来の紙質のものがもう製造されていないため、最近の光沢タイプ(モノクロ写真専用の最高級印画紙)を使っていますが、それ以外はまだ昔通りの手作業ができるラボで焼き付けしてもらった特注品です。しかも、現在の最先端プリント技術と職人技の融合により画像のディテールに亘って従来にない高い精度を実現しているため、一見してその美しさに驚かれるはずです。アナログ銀塩写真にご関心ある方は、この機会をどうぞお見逃しなく。
★★★コンディション: 入手以来一度もディスプレイことなく保管してきましたので、写真の劣化や傷みは全くありません。
★★★写真自体は傷まないように『仮止め』程度に留めていますので、額装の取り替えは容易です。
★★★額装した写真は反射を避けるため表面のアクリル透明板を取り外して撮影しています。
★★★発送方法と送料:『ゆうパック(100サイズ)』で、奈良県からの基本料金です。