このシャツ、まず最初に驚くのが素材感だが
手で触ったとき、素肌に着たとき、
とにかく別次元の感覚が体験できるはず。
ではまずその素材を解明していくのだが、
最高級コットンといえば
スーピマ綿とギザ綿が挙げられる。
そこでまずスーピア綿だが
特徴は通常の繊維の約1.4倍ほどの
繊維長を持ち、毛羽立ちが少なくなるため、
生地にした時の滑らかさやしなやかさは格別。
ずっと触れていたくなるような肌触りだと
表現され、糸を紡ぐときの
つなぎ目が少なくなることから、
丈夫で強い生地に仕上がり、
スーピマコットンの製品は頻繁に洗濯しても
風合いが変わらず、長らくの愛用が可能。
次にギザ綿だが、
これは別名「白いゴールド」とも呼ばれ、
最高品質の超長綿の一つと言われ、
ギザコットンは種の開発の順番により
“GIZA76”“GIZA70”“GIZA45”といった
名前がつけられ、
その中でも最高品質とされるのがGIZA45で、
最も繊維長が長く、滑らかな質感は
シルクに例えられるほどの美しさをもつ。
さて、ではどちらか?というと
このシャツの素材の詳細は表示されていないが、
おそらくはスーピマコットンではないかと
思われる。それはシャツというアイテムだけに
頻繁に洗濯しても風合いが変わらず、
長らくの愛用が可能だという素材の特性が
優先されるからだと思う。
次にこのシャツの魅力はというと
あまりにも手間のかかる細部の仕立てだろう。
それは何処をみれば分かるのかというと
シャツの前合わせの"前立て"と
袖カフの"袋縫い"だ。
まずその前立て部分だが、
ここは「裏前立て」と呼ばれる作り方で、
シャツの前端を内側に折って縫製している。
これはフレンチフロントとも言われ
欧風のクラシックスタイルの作り方
とも言われる。そしてフレンチフロントで
作られたシャツは、
シンプルな前立ての作り方のために
清潔感があり、フォーマルに向いた
シャツスタイルとされている。
ではその前立て部分が魅力なのかと言うと、
タイを外して、第一ボタン、第二ボタンを
開けたとき、右前身頃のエッジ部分が
黒テープでパイピング処理されているので、
エレガントなラフスタイルになるからだ。
次に袋縫い部分だが、
これは布端を完全に隠してしまう縫い方で、
表も裏もきれいに仕上がる縫製。
とくに薄地の生地などに推奨される
布端処理の方法で、とにかく手間がかかる。
ふっくらとした袋縫いの襟の
襟先の綺麗な"角丸"仕立て。
そして、やはりふっくらとした袖カフの
カフ端の綺麗な"角丸"仕立て。
とにかくすべて手間のかかるドレス仕様。
余談だが、このシャツをクリーニングに
出す際は、確かな技術を持つ店でないと
せっかくの美しい袋縫い部分を
強くプレスされ潰されしまうので
注意が必要だろう。
そして最後に、グレーのドレスシャツという物が
これだけの高いクォリティの物を探しても
まず無いだろう。
サイズは15 3/4 | 40表記で、
各所メジャー実測値は
肩幅47cm、身幅57cm、着丈74.5cm、
袖丈60cm、裄丈84cm。
ネック(首回り)40cm、襟の長さ6cm、
襟腰の高さは3.5cm
数回着用した中古品。