絶版希少図録本 イサム・ノグチ展 回顧展 レトロスペクティブ 彫刻 作品集 写真集 論考 解説 オブジェ ほか
ISAMU NOGUCHI RETROSUPECTIVE 1992
東京国立近代美術館・京都国立近代美術館
朝日新聞社
1992年
181ページ
約28x23x1.5cm
カラー・モノクロ (カラー20ページ)
日本語・英語 Jaanese/English
※絶版
20世紀日本とアメリカを代表する彫刻家イサム・ノグチ(1904-88)の沒後、
初めての大規模回顧展の会場限定公式図録本。
各作品の写真図版には、製作年、素材、サイズ、サイン/署名、年記の有無・ある場合はその場所、所蔵者、来歴、出展展覧会、参考文献書誌が掲載されており、論考テキストほか内容充実、イサムノグチ愛好家必携の大変貴重な資料本です。
ノグチは詩人で英文学者の日本人の父と、作家で教師のアメリカ人の母との間に生まれた。この“間”に生まれたということ、それはノグチの芸術を考えるうえでの一つの鍵となる概念である。この展覧会では、日本とアメリカ、自然と人工、伝統と新しさ、具象と抽象といった様々なものの“間”で作品を作り続けたイサム・ノグチの初期から晩年に至る足取りが、時代を追って明らかにきれていく。その際彼の作品を、それが持つ<形態>に即して分類しながら系統的に、形態への旅立ち.有機的形態と抽象思考.空間へ/空間から.世界の構造軸.円環あるいは空虚.存在の石あるいは自然、という6つのセクションに分けて展示した。そうしてより明確に彼の作品世界を浮かび上がらせること、つまり人間的でこの地上に「開かれた」世界として存在するノグチの作品の全貌を明らかにすること、それが本展の主旨である。
人間とは何かという大きな問のもと、人間の形象を探求し続けた伝統的な彫刻の世界と、その方向性が行き詰まった20世紀初頭に新たに起こった、形象を抽象的に抽出した構成主義的幾何学的な彫刻の世界との間で、ブランクーシに影響を受けたノグチは、単に形態そのものの美ではな、伝えられるべき、あるいは宿されるべき意味内容が背後に控えた<象徴>としての彫刻を目指した。森羅万象の生命力、宇宙を支えているエネルギーへの賛歌と感謝、そういった<目に見えないもの>を、物質を用いて<かたち>にし、触れれるようにしたものが彼にとっての<象徴>であり、そのような象徴を生み出すことが、芸術とりわけ彫刻や立体造形の創造行為であった。このような考えから彼は、日本庭園や円環といったモティーフに基づき製作を続け、そこで生み出された作品は、その周囲の環境・空間と結び付き、我々人間の本来的な自然な姿を提示していると言えるだろう。
この展覧会はニューヨークのイサム・ノグチ財団の協力を得て、東京国立近代美術館で開催きれた後、京都国立近代美術館へと巡回した。
【主催者挨拶】より
イサム・ノグチ(1904-88)は日本人の詩人で英文学者の野口米次郎を父に、アメリカ人の作家で教師のレオニー・ギルモアを母としてロサンゼルスに生まれ、幼年時代を日本で過ごしたあと、帰米し、彫刻家となりました。ノグチは日本とアメリカを代表するばかりでなく、現代芸術を語る際に欠かせない、世界的に偉大な彫刻家でした。また、彫刻という分野に留まることなく、庭園を主題とした環境芸術や舞台芸術、応用芸術へと、幅広い活動を通して、彼を育んだ日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国といった東西の文化、さらに世界そのものを考え続けました。彼は実にインターナショナルな創作活動を持続し、日本においても豊かな制作活動と作品発裏を行ない、特に晩年は香川県の牟礼にアトリエを設けて制作に励みました。
この展覧会では、ノグチの作品を、初期から晩年に至る展開を追いつつ、形態に即して分類しながら系統的に展示します。そこには、自然と人工の間、伝統と新しさの間にあって、貫かれる彼の抽象思考、象徴の創造、自然との豊かな対話が見て取れるでしょう。彼はきわめて人間的な、この地上に「開かれる」世界をめざしたのです。
間(あいだ)にあって求め行くこと……。生い立ちと存在理由、東洋と西洋、伝統と新しさ、自然と人工、ものとかたち……。彫刻家イサム・ノグチはこの「間」に運命づけられ、幅広い活動で豊かに深く生き抜きました。彼こそ、開かれた芸術世界を求め続けた20世紀の芸術家であったと言えましょう。
本展覧会を実現するに当たり、竹中工務店およびJT(日本たばこ産業)に御協賛をたまわりました。またイサム・ノグチの作品を所蔵管理しているニューヨークのイサム・ノグチ財団と日本のノグチ財団設立準備委貝会から絶大なるご協力をいただきました。両機関をはじめ、貴重な作品を快くご出品くださいました内外の諸美術館、画廊、所蔵家の方々のご好意に対して、心からの謝意を表します。
【目次】
―間の詩学―イサム・ノグチの彫刻/空間について 高橋幸次
カタログ Catalogue 高橋幸次編
図版
cat.nos.1-24 形態への旅立ち(形態を求めて/様々な参照)
cat.nos.25-46 有機的形態と抽象思考
cat.nos.47-57 空間へ/空間から(彫刻と空間/〈もの〉とくこと〉)
cat.nos.58-75 世界の構成軸(水平・垂直・重力・無重力……)
cat.nos.76-84 円環あるいは空虚
cat.nos.85-91 存在の石あるいは自然
イサム・ノグチ年譜 都築千重子編
展覧会歴(個展/グループ展)都築千重子編
主要参考文献 水谷長志 都築千重子子共編
作品リスト
【作品リスト】一部紹介 英語名・製作年 材質・形状記載 cat no.,Title,Date
足のような木1928真鍮に金メッキ
レダ1928真鍮に金メッキ
帆のかたち1928真鍮
赤い種子1928木、金属
北京の墨画1930墨・唐紙、額装
北京の墨画1930墨・唐紙、額装
歓喜の目1930ブロンズ
中国の娘1930ブロンズ
玉錦(力士)(相撲)1931テラコッタ
マグタレーナ(祈る人)1924フロンズ
セシル・アールトン1925テラコッタ
ポリス・イヴァン・マイドラコフ(M.I.ポリス)1925~26フロンズ
R.バックミンスター・フラー1929クロームメノキのブロンズ
伯父の肖像1931テラコッタ
スサンヌ・ジークラー1932木、石炭塗料
タラ・パンディット1947ブロンズ
達磨1952陶(唐津焼)
ムカデさえ195211個の陶(笠間焼)、木製の柱
かぶと1952陶
オバケ1952陶、麻、木製の台座
無題1952陶(織部焼)、緑色の釉薬
祝典(休日)1952鋳鉄
おかめ1956鉄、木製の台座
女(リシ・ケシュにて)1956鋳鉄
死(リンチされた人)1934モネル合金、木、金属、ロープ
男1945頃木
ラジオ・ナース1937ベークライト、電気部品、ゼニス・ラジオ会社製
私のアリゾナ1943マデネサイト、プラスチック
赤い拳のルナー1944マグネサイト、プラスチック樹脂を塗った歯、電燈
英雄のモニュメント1943木、紙、骨、糸
世界はたこつぼ(私はたこつぼ)1942~43ブロンズ、木、糸
接吻1945アラバスター
母と子1944~45縞めのう
三位一体(3個組)1945フロンズ
グーナス1946テネシー産大理石
凧1958ステンレス、円盤研磨仕上げ
オルフェウス1958アルミニウム
立方体の生命1962黒御影石
門1969綱鉄、着彩
滑り台のための習作1966~85カラーラ大理石
滑り台のための実用模型1966~85ボッティチーノ大理石
ディン・ドン・バット1968白色の彫像用大理石、ポルトガル産大理石
彼女1970~71オーストラリア産黒色ボルティコイ大理石、ポルトガル産ローズ、オーロラ大理石
マグリツトの石1982~83熔融亜鉛メッキ、スティール板
ジャコメソティの影1982~83熔融亜鉛メッキ、スティール板
風つかみ1982~83熔融亜鉛メッキ、スティール板
遊び山1933ブロンズ模型
形だけで作る遊園地1941ブロンズ模型
広島の原爆慰霊碑1952~82玄武岩の1/5模型
仏陀の記念碑1957木、石膏、ブロンズによる模型
バイネッケ稀觀本・手写本図書館の沈床園1960~64木(一部着彩)で作られた庭園模型
リヴァーサイド・ドライヴ遊園地1961~66フロンズ模型
リヴァーサイド・ドライヴ遊園地1961~66フロンズ模型
夢窓国師のおしえ1962ブロンズ
フロア・フレーム1962ブロンズ
フロア・フレーム/インドの想い出1970シエナ産黄色大理石、ベティツト黒御影石
蹲 ニューヨーク、メトロポリタン美術館のための噴水1985茨城産白色花崗岩、ステンレス板、石
この場所1968黒御影石
水のテーブル1968スウェーデン産黒御影石、桃色花崗岩の脚部
ジグラット1968セラヴェッツァ産白色大理石
空間のうねり#21968アフリカ産黒御影石
銀河系のカリグラフィー1983~84スウェーデン産黒御影石
すずり1984花崗岩
無限の連結1957鉄(3部分)
精神の飛行1969緑色と桃色の蛇紋岩、カラーラ大理石
地表の風#21969黒御影石
二連の赤い山1969ペルシア産赤色トラバーチン
探す人のヴァリエーション1969黒御影石
クロノス1947ブロンズ
死すべき運命1959~62ブロンズ
犠牲者1962ブロンズ
通霊の石1962アルミニウムの枠付きのブロンズ
細胞有糸分裂1962フロンズ
住人1962ブロンズ、アルミニウム
ヌード1964砂岩、アルミニウム、粘板岩
円環1945~48スウェーデン産黒御影石
島C(無)1952~58ギリシャ産大理石
ひき臼の変奏曲♯11962花崗岩、台板、支柱付き
白い太陽1966イタリア産サラヴェッツァ大理石
黒い太陽1969スウェーデン産黒御影石
真夜中の太陽1989スウェーデン産(黒/赤色)花崗岩
魔法の環197ベルシア産赤色トラバーチン
歩く空虚#21974スウェーデン産黒御影石
無言の歩み1989白色ボッティチーノ大理石
贈り物1964アフリカ産黒御影石
緑のエッセンス1966緑色の蛇紋岩、アルミニウム製の支え
内面を求めて の背後一シヴアの踊り1972~82玄武岩
内なる石1982玄武岩
無題1985玄武岩
始まり1985安山岩
終わり1985スウェーデン産黒御影石
【作品の詳細情報 一部紹介】
捜す人のヴァリエーション
1969年
黒御影石
31.1×143.5×20.3cm
背面左上に署名・年記
イサム・ノグチ財団蔵
Seeker Variation
1969
Black granite
31.1×143.5×20.3 cm
Signed and dated: back, upper left
The Isamu Noguchi Foundation, Inc.
Provenance:
Formerly collection of the artist.
Bibliography:
Grove & Botnick, 1980, cat.no.662;
Noguchi, 1987, p.126, plate・p.127.
クロノス
1947年
(バルサ材のオリジナル作品からのブロンズ版作品:5/6)
ブロンズ
215.0×57.5×88.0cm
つり下げられた最も下の構成要素と底部に署名・年記
静岡県立美術館蔵