この「OEPライントランスボックス」は「ニーブくん」にインスパイアされて作りました。
ただ一点だけ違うところはニーブくんはNEVE1073のマイク入力のコピー、OEPライントランスボックスはNEVE1073のライン入力のコピーだと言う点です。
通常、ピン端子はー10dB、XLRは+4dBuと明確に決められていますがフォーン端子だけはエレキギター、エレアコ、シンセ、エフェクターと多岐にわたり音量差もバラバラの状態です。特にニーブくんのような怪しい機器は気をつけてください。
オーディオ機器では入力インピーダンスが出力インピーダンスの2倍できれば10倍以上が望ましいとされています。(ロー送りハイ受け)
ここで望ましいとした理由は、音自体はハイ送りロー受けでも鳴ります。ただその音はメーカーが想定した音では無いのです。
一度、各機器のインピーダンスを整理して見ましょう。
NEVE 1073のトランスは以下の通り
インプットマイクトランス
入力インピーダンスは1.2kΩ
出力インピーダンスは4.8kΩ
インプットライントランス
入力インピーダンスは10kΩ
出力インピーダンスは600Ω
ニーヴくんは
入力インピーダンスは1kΩ
出力インピーダンスは4kΩ
OEPライントランスボックス
入力インピーダンスは10kΩor2.5kΩ(切り替え)
出力インピーダンスは10kΩor2.5kΩ(切り替え)
見事にNEVE 1073とOEPライントランスボックスのライン入力のインピーダンスが一致していることが分かるでしょう。
一度、各楽器のインピーダンスを整理して見ましょう。
出力インピーダンス
エレキギター=250kΩ~500kΩ
コンパクトエフェクター=1kΩ(バッファー内蔵タイプ)
シンセサイザー=600Ω
ダイレクトボックス=200Ω
コンデンサーマイク=200Ω
オーディオインターフェイス=100Ω~500Ω
ダイナミックマイク=150Ω
入力インピーダンス
ダイレクトボックス=4MΩ
コンパクトエフェクター=1MΩ
ギターアンプ=500kΩ~1MΩ
Hi-Z入力=1MΩ
オーディオインターフェイスマイク入力=2kΩ
オーディオインターフェイスライン入力=10kΩ
見事に10倍以上確保しているのが分かっていただけると思います。
簡単に言ってしまうとニーブくんはコンデンサーマイクとダイナミックマイクには使えるがギター(アンプシミュレーター出力も含む)やシンセサイザーにはお勧めできないということです。
OEPライントランスボックスは当然ギターやシンセサイザーにバッチリ使えますし(エレキギターはバッファーが必要)、コンデンサーマイクとダイナミックマイクもマイクプリの後なら大丈夫です。
もう一つ大事なことですがライントランスは交流(音声信号)はOKですが、直流(ファンタム電源)は絶対に通してはいけません。トランスが帯磁して性能が著しく落ちてしまいます。
マイクプリの前にニーブくんをつないでファンタム電源をONにするとニーブくんが壊れてしまいます。なので使えるのは実はダイナミックマイクのみとなります。
OEPライントランス使用例
エレキギターは出力インピーダンスが250kΩ~500kΩあり、これを直接インプットできるのは1MΩ(1000kΩ)以上でコンパクトエフェクター、Hi-Z入力、ダイレクトボックス、ギターアンプくらいとなります。
コンパクトエフェクター(出力1kΩ)→(入力10kΩ)OEPライントランス(出力10kΩ)→(入力1000kΩ)コンパクトエフェクター
コンパクトエフェクター(出力1kΩ)→(入力10kΩ)OEPライントランス(出力10kΩ)→(入力1000kΩ)アンプシミュレーター
以上は問題なく使用できますが問題はギターアンプのセンドリターン端子です。
センド(出力10kΩ~100kΩ)→(入力10kΩ)OEPライントランスはハイ送りロー受けとなりお勧めはできません。
OEPライントランス(出力10kΩ)→(入力100kΩ~1000kΩ)リターンは大丈夫です。
以上から
ギターアンプのセンドからOEPライントランスへの直接入力
エレキギターからOEPライントランスへの直接入力(アクティブピックアップやエレアコはOK)
出力インピーダンス5kΩ以上の機器からOEPライントランスへの直接入力
以外は大丈夫です。
ミキサーやオーディオインターフェースに挿す場合は出力インピーダンスを2.5kΩに変更するかHi-Z入力を使ってください。
入出力はTRSジャックを使っているのでバランスやアンバランス両方対応していますが、入出力はどちらかに統一してください。
各機器の入出力インピーダンスはマニュアルかメーカーHPに記載があります。
もう少しライントランスを勉強したい方は別に内部のマニュアルも販売していますのでそちらを購入してください。