この模型のB-52は機首に『677』のマーキングがありますが、この機体のシリアルナンバーは『55-0677』。シリアルからD型のB-52であることが分かります(初期量産型のD型なので、垂直尾翼が大きい)。
何と実機が現存してて、ミシガン州のウィローラン空港に隣接して作られてるヤンキー・エア・ミュージアムで野外展示されてます。
大きいのでグーグルアースで見れます(42°14'34.3"N 83°30'49.9"W ←グーグルアースの検索欄にコピペすべし!)。
現役の頃はグアム基地に所属してて、ベトナム戦争の際にベトナムへ絨毯爆撃に行ってます。
また、この模型のB-52は翼下にスカイボルトミサイルを4発吊ってます。
◆趣味のB-52ストラトフォートレス
世界で初めて初めて原爆を投下したのはB-29ですが、当時の原爆は1発の重量が4.5トンあり、原爆投下用に改装されたB-29でも1発積んで飛ぶのがやっとでした。
第2次世界大戦後、より強力な水爆が開発されますが、原爆よりも更に重くなりました(約10トン)。
そこで戦後、より大型の戦略爆撃機B-36(超巨大なプロペラ機)が作られますが、急速にジェット化の時代が来たため、ジェット爆撃機のB-47が作られ、B-47をより巨大化したB-52が開発されます。
全長・全幅が約50mの後退翼を持つ大型のジェット爆撃機で、速度はマッハ0.8、航続距離は1万6000km。高度16000mの高空を飛んで爆撃に行く戦略爆撃の専門家。爆弾の搭載量は脅威の31.5トン(B-29の3倍)。
胴体内部に巨大な爆弾倉を持つ他、翼にも爆弾を吊る事が出来ます。
幸いにして核攻撃に使われた事はありませんが、実際に核爆弾を積んで飛んでたので、何機か事故で落ちて放射能汚染の事故を発生させました。
ベトナム戦争時は、その巨大な爆弾倉に大量の通常爆弾を搭載し、北ベトナムを空爆に行ってます。
この模型のB-52はベトナム戦争の頃に大活躍したD型です。
B-52A:テスト機(3機製造)
B-52B:A型に爆撃装置を搭載した実戦型(50機製造)
B-52C:B型の主翼の一番外側に大型の増槽を吊って後続距離を伸ばした改良型(35機製造)
B-52D:核爆弾だけじゃなく、通常爆弾を大量に搭載できるようにしたタイプ(170機製造)
D型は尾部機銃のFCS(火器管制装置)が新型になった他、通常爆弾を大量に搭載して絨毯爆撃できる様にした量産型で、主にベトナム戦争で大活躍しました。
B-52はジェット機ですが、最高速度は時速1000km(マッハ0.8)。ベトナム戦争の頃から、アメリカもソ連もマッハ2の超音速で飛べるジェット戦闘機を次々と開発。マッハ0.8で飛んで行ったら、あっさりと撃墜されます。
そこでB-52の次のB-58ハスラーはマッハ2、その次のB-70バルキリーではマッハ3の超音速で飛びモスクワを核攻撃できるようになりました。
しかし、ほぼ同時期に大陸間弾道弾が開発され、核弾頭も小型化、潜水艦からも核ミサイルを発射できる様になり、ミサイルが凄い勢いで進化していきました。
そうなると、わざわざパイロットが爆撃機を操縦して、危険な敵国上空に侵入して水爆を落とすメリットが何一つない為、B-58はわずか10年で退役。B-70は試作機が2機作られた時点で計画が凍結されました。
一方のB-52は1955年から運用が続いてますが、30トンという爆弾積載量がある為、爆弾をたくさん積んでの通常爆撃や、巡航ミサイルで敵国へのスタンドオフ攻撃が出来、色々使えて便利なので、湾岸戦争やアフガン紛争、イラク戦争などに出撃し、巡航ミサイルAGM-86を発射しまくってます。
運用開始から70年近く経つのに未だに現役です。
その後、B-1BやB-2といったステルス爆撃が作られたものの、やっぱり爆弾搭載量と航続距離ではB-52の比ではない為、B-52も未だに現役です。
しかし、流石に寿命が来てる為、エンジンをロールスロイス製の新型エンジンに換装。新たにB-52Jの型番を与えて電子系なども近代化改修。2050年代まで使用する事が決定しました。
・・・パイロットよりも長生きな爆撃機である。
◆趣味のスカイボルトミサイル
大型の核ミサイルは地下に掘られたミサイルサイロから発射されますが、偵察衛星で場所の特定が容易なので核戦争が始まったら真っ先に狙われます。
そこで1959年から開発が開始されたのが中距離弾道ミサイルのスカイボルト。
空中発射型のミサイルで、B-52の専用武装になるはずでした。
全長11m、重さ5トンという大型のミサイルで、射程距離は1850km。核弾頭の威力は1.2メガトンで広島に落とされた原爆の80倍の威力があります。
ソ連の迎撃機が飛んで来る遥か手前からミサイルを発射。ミサイルはマッハ12.5の超スピードで飛翔し、ソ連の主要都市を核攻撃する予定でした。
が! 5回行われた発射実験は全部失敗に終わった為、予算が凍結され、開発計画は中止になりました。
まあ、その15年後、巡航ミサイルAGM-86が作られ、胴体内の回転式ランチャーに8発、主翼に12発の計20発を搭載できる様になった為、スカイボルトミサイルよりも更に凶悪に進化したのですが・・・・。
AGM-86も核ミサイルなのですが、湾岸戦争やイラク戦争では核弾頭ではなく、通常弾頭を装備して、イラクを攻撃しました。