「インフォームド・コンセント―患者の選択」 R・フェイドン/T・ビーチャム【著】酒井忠昭/秦洋一【訳】 みすず書房(2007/02/23発行) 收藏
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人文・社会 [法律](常磐色) |
本品のタイトル | 「インフォームド・コンセント―患者の選択」 ルース・R・フェイドン/トム・L・ビーチャム【著】酒井忠昭/秦洋一【訳】 みすず書房(2007/02/23発行) |
発行出版 | みすず書房(2007/02/23第5刷発行) |
本品の体裁 | 388ページ カバー付 |
ISBN-10: | 4-622-03794-7 |
ISBN-13: | 978-4-622-03794-1 |
定価 | 6,000円+税 |
本品の内容 |
内容説明 内容 医療のあり方が大きく変わろうとする今、「インフォームド・コンセント」というキーワードの理解が急務になった。 しかし実際には、想像以上に混乱があり、誤解がある。それはなぜだろうか。原因は、この概念がつくられた歴史的経緯が込み入っていることと。さらに、道徳、法律、医療など、アプローチによって捉え方が違うからだろう。この表現が生まれた米国においてさえ、法が想定するインフォームド・コンセントと、臨床医療の実績のあいだには、ながいあいだ隔たりがあった。 本書は、インフォームド・コンセントとは何か、その理論と歴史を、あらゆる角度から、しかもわかりやすく論じた、はじめての本である。 まず第一部で、この概念の基礎となる考え方を、道徳哲学と法律学の蓄積のなかから説明する。第二部は、インフォームド・コンセントの歴史。欧米の判例の積み重ねと米国の政策の発展を追ううちに、インフォームド・コンセントの輪郭がはっきり見えてくる。最後の第三部では、著者たちがみずからの立場を説明し、実質的なインフォームド・コンセントを達成するための条件をていねいに模索する。 この三部構成の本を流れるテーマは、ただ一つ、医師の「善行」に頼る考え方から脱し、患者の自律(自己決定)の条件をどう整えるかということだ。「依らしむべし、知らしむべからず」の感覚が、医療従事者だけでなく、患者の側にも深くしみこんでいる日本で、今もっとも切実なテーマがここにある。 目次 序文 謝辞 第一部 基礎となる考えかた 1 道徳理論の基礎 原則、規則、権利 道徳性の概念/諸原則による意味づけ/義務に相関する権利 三つの原則 自律性の尊重/善行/公正 道徳的原則と権利の比較評価 結論 2 法的理論の基礎 道徳原則と法的権利 コモン・ローと法理 責任論/開示要件/因果関係/除外例 憲法とプライバシー権 プライバシーの請求としてのIC/プライバシー訴訟の将来志向性 結論 第二部 インフォームド・コンセントの歴史 3 臨床医学のなかの見解と実践の解釈の問題 「同意」の歴史の解釈:このプロジェクトのある種の危険性 対立するふたつの歴史的解釈 ヒポクラテスから米国医師会にいたる綱領と論文 古代の医学/中世の医学/啓蒙期の医学/近代の英米医学/医学的善行主義の伝統 19世紀と20世紀初期の米国の医療 同意と拒否にかんする事例/秘密、善行的な嘘と自衛策 ICの到来 ICについて知らされるようになった時代:1917-1972年 新たな医学倫理の展開 結論:ほんとうは、なにも変わらなかった 4 同意と法廷:法理論の登場 法律の読みかた 20世紀以前の同意 18世紀後期の英国:スレーター判決/19世紀の米国の判例における暴行と医療ミス 20世紀初期の判例:基本的同意の誕生 シュレンドルフ以前の判例/シュレンドルフ事件/初期の判例がはたした役割 1917-1972年:同意は情報をともなうものになったサルゴ判決と暴行 ネイタンソン判決と過失 1972年―現在:ICの発展 カンタベリー判決/カンタベリー後:トルーマン判決 成文法の戦略 結論 5 研究倫理における同意要件の展開 生物医学における同意 ニュルンベルク綱領/ヘルシンキ宣言/有力な学術刊行物/諸事件をめぐる論争 行動科学における同意 心理学に綱領が生まれた/同意と欺瞞にかんする初期の論争/論争をよんだ事件と専門家の反応 研究行動における倫理的原則 結論 6 ヒトを対象にした研究にたいする連邦政策の発展 初期の連邦の認識:1962-1974年のふたつの厚生省機関 初期のNIH臨床センターの政策/FDA政策の形成 NIH政策の形成 その後の連邦の発展:ふたつの委員会と1974-1983年の新条例 生物医学・行動科学研究におけるヒト被験者保護のための国家委員会:1974-1978年/1981年米国厚生省の改定条例/医学、生物医学・行動科学研究における倫理問題研究のための大統領委員会:1980-1983年 結論 第三部 インフォームド・コンセントの理論 7 自律性の概念 自律性とIC 人間とその人間の行動の区別/自律的行動の段階 実質的な自律的行動 自律的行動の三つの条件 意図性の条件/理解の条件/非支配の条件 真正性は必要な条件か 熟慮のうえの受諾としての真正性/真正性の条件の再定式化の可能性 結論 8 ICの概念と能力 ICのふたつの概念 ICの分析/意味1 自律的権限付託としてのIC 意味2 有効な同意としてのIC/意味1と意味2の関係 同意する能力:門番役としての概念 法的能力の本質と段階/能力の概念の基準としての機能/心理学的能力、合法的な権限付託、自律的人間 結論 9 理解 理解と権限付託 実質的理解の基準 権限付託の行為の理解/権限付託する内容の理解 理解と開示の基準 通常の開示基準の不備/開示からコミュニケーションへ:理解の主観的基準/核心の開示と理解の共有:客観的基準/情報の留保/効果的コミュニケーションによる理解 コミュニケーションと情報の理解 言語、推理、背景となる知識の問題/危険と不確実性 情報過多、ストレス、病気の問題 実質的理解の確認 結論 10 強制、操作、説得 強制 強制の本質/脅威と報奨の申し出/抵抗性の主観的基準 「強制的状況」 説得 説得の本質 警告と予測 理由と正当とされる考え 自己説得 操作 操作の本質とタイプ 選択肢の操作 情報の操作 心理的操作 役割による制約の問題 結論 注 訳者あとがき 索引 著訳者略歴 *ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。 ルース・R・フェイドン Ruth R. Faden ジョンズ・ホプキンズ大学準教授。健康政策、健康管理、行動科学、健康教育を担当する。同時にジョージタウン大学ケネディ倫理研究所主任研究員。 トム・L・ビーチャム Tom L. Beauchamp ジョージタウン大学哲学教授。ケネディ倫理研究所主任研究員。 酒井忠昭 さかい・ただあき 1937年東京都に生れる。国際キリスト教大学、千葉大学卒業。東京都立駒込病院外科医長。同病院のターミナルケア・在宅医療担当を経て、現在ライフケアシステムのメディカル・ディレクター(在宅ホスピス担当) 秦洋一 はた・よういち 1940年高知県に生れる。国際基督教大学卒業後、朝日新聞社に入社。『モダン・メディシン』副編集長。調査研究室主任研究員、編集委員を経て、現在は医療ジャーナリスト。「患者の権利」「尊厳死」「介護問題」などをテーマに執筆をつづける。訳書バーケット『科学報道とは何か』(紀伊國屋書店 共訳)ビショップ『遺伝子の狩人』(科学同人)その他 |
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