第2次世界大戦後、東西冷戦の時代がやって来ます。CIA(アメリカ中央情報局)は、高高度戦略偵察機U-2ドラゴンレディを飛ばし、ソ連国内を強行偵察。軍事基地や核ミサイルのサイロ、ミサイル工場、造船所、停泊中の原子力潜水艦などの情報収集をしてたのですが、ソ連の地対空ミサイルでU-2が落とされ始めました。
『じゃあ、ミサイルより速い偵察機を作ればいいじゃない』とロッキード社のケリー・ジョンソンが提案し、CIAがそれを受け、大統領が許可してしまったとゆー。
ミサイルよりも速いマッハ3.3で、ミサイルの届かない高度25000mの高空を飛び去ります。
地上のレーダー基地がSR-71を見つけてから(※ステルス機なので、そもそも見つからないのだが)、地上のミサイル基地が地対空ミサイルを射っても、その頃にはSR-71は遥か彼方に行ってるとゆー。
SR-71は偵察機なので、空軍基地を使います(CIAの秘密基地とか無いから!)。 飛行機なので一応空軍の所属で、空軍のマークを付けてますが、予算はCIAから出てますし、パイロットもCIAのエージェント兼パイロットです。
マッハ3(≒秒速970m)という凄い速度で飛ぶため、空気との摩擦熱で機体表面は700℃にも達します。
ジェット戦闘機はアルミ合金のジュラルミンを使いますが、マッハ3で飛ぶと溶けてしまいます。そこでSR-71の機体はB-120という特殊なチタン合金で覆われてます。
それでも冷やさないと機体が溶けてしまうので、機体を冷やすために燃料が使われてるのもSR-71の特徴です。
航続距離が5230kmなので、搭載する燃料も膨大で何と36トン。
燃料タンクは一式陸攻と同様のインテグラルタンクになっており、主翼の外板がそのまま燃料タンクになってます。主翼の外側は空気摩擦で高温になるので、中の燃料で冷やしてるとゆー。一種の液冷です。
また燃料パイプが機体全体に張り巡らされ、コックピットやコンピューターを冷やしつつ、最終的に機体の摩擦熱で300℃ぐらいに温められてエンジンに投入されるという機体全体が巨大なラジエーターみたいな構造をしてます。燃料が冷却材兼用という不思議さ。
また燃料もSR-71専用のJP-7という特殊な合成燃料が開発されました。常温では流動性が全くありません。
ガソリンやジェット燃料は、すぐ火が付いて爆発しそうなイメージですが、JP-7は常温では揮発しませんし、火のついたマッチを近づけても引火すらしないとゆー。
機体の外鈑は、チタンですが、金属なので高温になると伸びます。そこでマッハ3で飛んでる時に外鈑がぴったりくっつく様に設計されてる為、地上ではパーツとパーツの間に隙間が空いてます。
なので地上の格納庫では、雨漏りみたいに外鈑の隙間から少しずつ燃料が滴り落ちて来るので、主翼の下にオイルパンを置いて受け止めてるのだそうな(※アナログな対処法である)。常温では揮発しないし着火もしない燃料なので、そんなことをしても大丈夫とゆー。
そこまでして冷却しても、帰って来た時、機体の表面温度が高いので、ハンガーのスプリンクラーが誤作動し、ハンガーや整備員が水浸しになった事もあるのだそうな。
飛んでる時は機体内部に格納されるタイヤも、高温で溶けてしまうため、アルミの粉末を混ぜた特殊なゴム製です。
マッハ3で飛ぶため、パイロットには強いGが掛かります。ので、パイロットはNASAが開発した宇宙服を着用してます。
独特な機体形状からステルス性も高く、沖縄の嘉手納基地に配備されてたSR-71が離陸直後にレーダーから消えたりしたのだそうな。
そのあまりの特殊性から1時間飛ばすと400万円の経費が掛かるとゆー・・・。
70年代から80年代の今にも核戦争が起こるかもしれないといわれてた冷戦時代に、連日飛び回って情報収集してたのですが、偵察衛星が発達したのと、経費が高すぎる為、1998年に全機退役し、現在はアメリカ各地の博物館に飾られてたり、モスボール状態で保管されてたりします。