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（2025年 1月 10日 21時 30分 追加）
盲目のサックス奏者エリック・クロスが1972年に発表した傑作です。参加メンバーはギターにパット・マルティーノ、ベースにデイヴ・ホランドという当時のジャズミュージシャンのビッグネームが見られます。エリック・クロス(as,ts)の12作目のリーダー・アルバム。23歳、1972年8月28日録音。パット・マルティーノ(el-g)、ロン・トーマス(el-p)、デイヴ・ホランド(ac-b,el-b)、ロン・クラシンスキ(ds)がサイドを固める。収録時間は41分56秒だが、3曲しかマテリアルはなく、各メンバー、とくにパットの演奏が存分に楽しめる。なにしろかなり相性がよかったためか、それまでパットは10作のエリックのアルバムで共演している。しかもこれが最後の共演作なのだ。M1「ワン・トゥー・フリー」は3部からなる組曲(エリック〜パット〜ロン作曲)。不気味な雰囲気のただようなか、g,el-pはバッキングに徹し、asソロが盛り上がってゆく。やがてパットのギターが左チャンネルから正確な早弾きを見せはじめ、el-pで1部が終わる。2部はg-p-asでテーマが提示され、テンポが速く明るくなりエリックのソロも熱くなる。そしてあらんかぎりのハーモニクスを駆使したgソロ。dsとasのかけあいとともに3部に突入し、el-pとasのデュオとなって終わる。M2「イッツ・トゥー・レイト」はキャロル・キングのヒット曲としても有名なゆったりとした楽しい曲で、el-bとgがよくマッチしてasソロを盛り上げている。やがてパットのgソロ。これが少しひねくれていて面白い。asとbで少し速くなるが、再びテーマに戻って静かに終わる。pは参加していない。M3「リセア」エリックの曲で、as〜p〜gのユニゾンからgソロがまず飛び出し、まるでパットのアルバムのようだ。そしてasソロ、テーマとなり終わる。悲しいことに、医療過誤で4歳で全盲となったが、16歳で初リーダー・アルバムを出し、1979年まで作品を出し続け、その後もライブを続けた……、天才とまで称されたエリック・クロスが、現在日本ではほとんど知られていないに等しいのは、本当に残念だ。