CDの音質を凌駕するハイスペックなデジタル・コンテンツ「DVD AUDIO」の再生1号機として、Technics(Nationalの高級ブランド、現Panasonic)が2001年に発表した記念碑的な逸品です。
1990年代後半から2000年代前半にかけては、日本のオーディオ界が最後の輝きを放っていた時期です。
SONYが「SACD」の1号機を1999年に発表した2年後に、Technicsが「DVD AUDIO」の1号機を世に問いました。
1号機というのは、新製品の存在・性能の高さを市場にアピールし、認知・普及を図っていくことを目的として製品で、コストを度外視して作られています。
利益を目的とした2号機以降の量産機とは製品のレベルが違うのです。
DVD-AUDIOというコンテンツは、SACDやBlu-ray audioと違って、定番ともいうべき過去の偉大な演奏家を取り上げることには消極的で、若手をはじめとする現役の音楽家を積極的にラインアップする方針でソフトを発表していきました。
だが、その方針が仇となり、優れた音質がほとんど世に知られないまま音楽市場から消えてしまいました。
私も手元には3枚のアルバム(N・アーノンクールの「マタイ全曲」、O・スウィートナーの「ベートーヴェン交響曲全集」、Z・メータの「ワルキューレ全曲」しか所有していませんが、SACDともBlu-ray audioとも違った質感の優れた音を聞かせてくれます。
Blu-ray audioと同様に、大容量のデータを処理できる映像機器のポテンシャルに着目してモディファイされた製品ですので、DVD-AUDIOを再生するにはTVモニターに映像ケーブルで繋いでやる必要があります。
DVD-AUDIO以外にDVD-videoとCDが再生可能で、本機が再生するCDやDVD-videoの音質も秀逸です。
DVD-AUDIOをユニバーサルプレーヤーでしか聴いたことのない方、同じハイスペックでもSACDやBlu-ray audioとは違う質感でCDやDVD-Videoを味わってみたい方には、打ってつけの製品ではないでしょうか。
ユニバーサルプレーヤーではないので、SACDは再生できませんからご注意ください。
本体にキズはみられますが、完動品です。
オーディオ製品が増え過ぎましたので、「構造改革」に踏み切りました。
本体以外にリモコン(完動品)、オリジナルのマニュアル、メガネ型の電源ケーブル(画像のものとは別)が付きます。
サイズ:430mm(幅)×275mm(奥行)×125mm(高さ)
マニュアルには「重量:8.6kg」と記されていますが、それ以上のずっしりした重さを感じさせます。
発売当時の価格は198,000円(税抜き)でした。