自宅保管の品です。大変美品ですが、古いもので経年変化はございます。ご理解頂ける方にご入札をお願い申し上げます。
あの夏、人気絶頂の漫才コンビ「やすきよ」になにがあったのか?
天才の名をほしいままにした横山やすしは、
破滅的な生き方しかできない奇才せもあった。
西川きよしの突然の参院選出馬がコンビを根底から揺るがした夏、
ふたりの相棒はいかにそれぞれの生き方を貫いたのか?
やすしが心を許した、唯一のジャーナリストが描くノンフィクション!
1986年、人気漫才コンビ「やすし・きよし」の西川きよしが、参院選出馬を表明。
相方の突然の選択は、横山やすしにとって漫才を捨てた裏切り行為せあり、
それは彼等にとって長い夏のはじまりでもあった。
横山やすしの本心を唯一知るジャーナリストが渾身の想いを綴った、噂の名著の文庫化。
長いレビューより
この本はきよしさんが選挙に出ることになったところから話が始まり、選挙前後の話が主となっている。単行本では二人の漫才が復活したところまでが書かれていたと思うが、文庫本ではその後のやすしさんについても触れられている。
この本は、著者とやすしさんの関わりから見た選挙前後について主に書かれていながらも、適度な距離を取っての取材日誌的な流れになっているので、今ひとつもどかしい面もあり、個人的には入り込みにくい印象を受ける。しかし同時に、当時の世相やきよしさんの選挙についての会社の考えや動きについてもわかるようになっていて、そういう流れだったのかということがよくわかる内容でもあった。
この中で、きよしさんとやすしさんが久々に一緒のテレビに出演して、選挙に関するいろいろな本音について聞かれたり語ったりする番組があったと書かれている。そこに至るまで、やすしさんはいろいろな場所で、相方は落ちる、何の思想もないのに通るわけがない、というような発言をしたり、まさに本音でいろいろと語ってきた。そのことについて質問が出た時、やすしさんより先にきよしさんが質問に答えたというエピソードが載っているのだが、そのコメントには、正直、「きよしさん、あざといなあ」という感想しか持てなかった。
やすしさんの様々な発言について、「はっきりいうて、二十年間は何であったのかなあというさびしさは…」ときよしさんのコメントは続くのだが、その感想はやすしさんこそ言いたいことだったのでは、と私は思う。ある日、舞台の袖で突然、「選挙に出たいと思っている」ときよしさんに言われたやすしさん。翌朝、「きのうのあの話はシャレやで」ときよしさんから電話をもらったやすしさん。それで出馬は無くなったと思っていたら、いつの間にかやはり出馬という話になって、会社もそれを結局は了承している。もしこの話が正しいとすれば、やすしさんが怒るのも無理はない。様々な発言になって現れるのも当然だし、長く付き合ってきたきよしさんにもそれは容易に想像がつくだろう。それを自分への好感度に変えるために、相方を悪者にして自分を被害者にしようとするようなその発言が、私には「あざとい」と感じられるのだ。きよしさんほどはっきりとした自分の意見やポリシーを持っている人ならば、正直に自分のやり方に対する非を認めて、相方に詫びるという姿勢があってもよかったのでは。そう感じるのだ。
当時、きよしさんが選挙に出ることになった時、私は、やすしさんが起こす数々のトラブルに疲れ切っていたきよしさんが、言い方は悪いが「選挙を利用して実質的なやすきよの解散に持っていこうとしているのだな」と感じたものだ。きよしさんの国政に対する気持ちは嘘ではなかったと思いたいが、やすしさんと離れたいという気持ちも大きかったのではないかと勝手に推測している。だからこそ、また復活漫才となった時、やすきよの漫才を見られるのは心から嬉しかったが、どうして二足のわらじを履くような真似をするのだろうと、正直きよしさんに不信感も持った。
その後、残念ながらやすきよは、やすしさんのトラブルによって本当に解散状態になってしまったわけだが、きよしさんの政治家への転身が無くてもそうなったのか、転身があったから加速されたことだったのか、私には今でも答えが出せずにいる。
ただ、一つ言えることは、あの時代、やすきよ漫才は本当に素晴らしかったし、その芸は伝説として残るにふさわしいものだったということだけだ。