・書籍名 : Die Ferokakteen der Baja California / The Ferocacti of Baja California
・著者名 : Franziska Wolf & Richard Wolf
・出版社:Self published (自費出版)
・発行年:2004年
・形式 : 洋書(ドイツ語+英語)、195×255mm、240ページ、ハードカバー
手元に1冊だけ余部があるので出品します。多少の当たり傷はありますが、スレは少なくほぼ新書状態の美品かと思います。(写真参照)。
<書籍説明>
本書はメキシコ西部海岸のBAJA CALIFORNIA(バハ・カリフォルニア)地域に分布するFerocactus属(フェロカクタス)のリヴィジョンとなります。
著者はオーストリアのサボテン・研究者となるFranziska Wolf(フランジスカ・ウルフ)とRichard Wolf(リカルド・ウルフ)の夫妻による執筆となります。なお、本書はドイツ語と英語の併記という変則版となっており、英語版の翻訳はG. Gielen博士の協力を得ています。
Ferocactus自体は、サボテン園芸界では大型フラッグシップ群の一つとなり、難物を何種も含み、また種によっては綺麗に育てる事が難しかったりと、国内でも名人達が腕を競う属の一つとなっています。一方で、近年のサボテン分類の例に漏れず、種や亜種、変種レベルの分類体系はなかなかに混乱しており、しばらくこの状況は続きそうだなとも感じています。
同属は米国南東部〜メキシコを中心に広く分布していますが、本書は本属の多様性が高く、また最も分類学的に混乱しているとされるバハ・カリフォルニア地域に焦点を当てて分類し、現地での生育状況等について詳細に解説しています。分類については、本書に先立ち著者が共著で2004年に新たな体系を示しており、本書でも新しい組み合わせを発表する等、本格的な分類学書籍ともなります。
また、Wolf夫妻は、バハ・カリフォルニア地域で30回以上の現地調査を実施しており、同地域のFerocactusを13種14亜種(21分類単位)に分類し、一部は本書で分類体系の組み替えを行なっています。また、各種の詳細な分布範囲を明らかにしており、中には同所的に分布する種もあり、なかなかの力作となっています。この手法は、分布と形態を基にした古典分類学的なアプローチでして、近年の遺伝子解析手法とは異なりますが、これはこれで一つの示唆を与えるに十分な調査結果だと感じます。
また、本書のウリの一つは、調査時に撮影された多くの生態写真の数々になり、素晴らしい野生株の写真や生育環境が種ごとに整理されて大量に並んでいます。過去にも、Ferocactusの野外生態写真は各所に掲載されていますが、ここまで大量の生態写真が掲載された書籍は無いと思います。
なお、なかなかニッチな書籍でして、発行数が非常に少なかったようで、比較的新しい書籍となりますが、残念ながら現在では入手難となっています。あまり知られていないかもしれませんが、個人的には隠れた名著の一つだと感じます。