中村彰彦★真田三代風雲録(上・下)★ 実業之日本社文庫

中村彰彦★真田三代風雲録(上・下)★ 実業之日本社文庫 收藏

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★商品説明★ 中村彰彦著 「真田三代風雲録(上・下)」 実業之日本社文庫<BR>
 「真田三代風雲録(上)」     2015年 2月 文庫初版
 「真田三代風雲録(下)」     2015年 2月 文庫初版

      定価    各巻 741円+税  479頁、484頁

★著者略歴★  1948年、栃木県生まれ。東北大学文学部国文科卒。昭和48年から平成3年までの文藝春秋社勤務を経て、文筆活動に入る。昭和62年「明治新撰組」で第10回エンタテインメント小説大賞。平成5年「五左衛門坂の敵討」で第1回中山義秀文学賞。1994年「二つの山河」で第111回直木賞受賞。2005年「落花は枝に還らずとも」で第24回新田次郎文学賞受賞。

★作品内容★  大阪冬の陣の陣・夏の陣で活躍し、さらに講談で真田十勇士で勇名を馳せた真田幸村。けれど、親父や祖父のほうが面白い。
 <上> 地方の豪族・滋野家の次男として生まれるが、真田の荘に城を構えた事から真田氏を名乗る。けれどすぐに武田家に所領を奪われ、上杉家の家老の元に居候する事になる。しかし上杉家は、小田原の北条家に圧迫され、仕舞には、越後の影虎(後の謙信)に頼ることになることになる。見限った初代真田家・幸隆は、うあらみも深いが武田家に仕える事にする。直接闘った信虎は、息子の晴信(信玄)によって国外追放されていたのだ。ともかく故地を取り戻すために智略を尽くす。砥石城の攻防など目が離せない。ともかく、上杉謙信との数たびの及ぶ川中島の決戦などが初代真田幸隆の見所だ。武田家が、甲州信州を纏めている間に真田家は上州に攻め入っていた。息子達もそれぞれ活躍していたのだが、上洛を目指した信玄に病が迫っていた。家康を蹴散らかしたが、その後引かざるを得なかった。その後を継いだ勝頼が、長篠の戦で負けた事が武田家滅亡の原因とされるが、確かに負けた事も大きかったが、それ以上に国内を纏め切れなかったほうが大きな原因だろう。事実国力はあり、その後4年ぐらい持ちこたえていたのだから、国内をしっかり纏めていれば武田家は残っていただろう。けれど実際は崩壊した。真田昌幸は、上田と、西上州をかけ、覇者である、信長や家康に対して意地を張る。信長が倒れ、秀吉が天下に号令を発したとき、ひとつの決断をする。戦国時代後期の武将昌幸の面目躍如。
 <下> ”表裏卑怯”の者と評された2代目昌幸だが、それが戦国では当たり前。とにかく、上州沼田と上田を手に入れた昌幸は、秀吉が安定していた時代は共に安定していた。長男は家康に仕え、本人と次男は秀吉に従った。次男・幸村は大谷吉継の娘をもらい子供もなしていた。ところが秀吉が亡くなると事態は一変。一端は家康に従って、会津攻めに加わるが。上田に帰城を認められた時、大阪で、石田三成が挙兵したとの報が入ってくる。長男は家康型に次男は己と共に上田城に篭る事になる。これが昌幸を名将と名を上げさせた”第2次上田合戦”だ。和束2千余で、3万以上の徳川秀忠軍を、10日も足止めして勝利して居る。しかし昌幸の輝きはここまでだった。西軍が負けた結果、紀州・九度山に幽閉され10年近く生きたがそのまま亡くなる。そして、幸村。これ以前は、父の影に居てさしたる活躍もなかったが。九度山での14年のあと、父の名もあり大阪城に招かれて家康の命も寸前まで追い込む活躍をする。この活躍があまりにも有名で、父・祖父の活躍もかすむ。でも実際に戦ったのは大阪の陣一度きりだった事を考えれば、後の講談などの影響が大きかったのかもしれない。ともかく最後の幸村の活躍を削ることもできないし、その実績もすごいが、3代それぞれを等分の視点で描ききった大作と言える。幸村だけを扱った小説なら他にもっと面白い者も多数あるだろうが、史実に従って、真田家3代を描いた作品として価値があると思う。

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