■ミックス解剖学 アデル「ローリング・イン・ザ・ディープ」 by トム・エルムハースト 海外のトップ・エンジニアに自身の手掛けたヒット曲のミックス手法を直接解説してもらう本連載。今回登場していただくのはイギリスが誇るミキシング・エンジニア、トム・エルムハースト。これまでにもビッグ・ネームとの仕事を重ねてきた彼だが、女性シンガー・ソングライター、アデルの「ローリング・イン・ザ・ディープ」は今年手掛けた仕事の中で最大のトピックの一つだろう。本作はシングルとして発表され、アメリカを含む計13カ国のチャートで首位を獲得。またこの曲を収めたアルバム『21』については、世界24カ国のチャートで数週間にわたりトップ10入りを果たすなど、大きな反響を呼んだ。ダイナミックかつオーガニックな質感を持つ本作の音響は、アナログにデジタルの美点を取り入れるミックスによって作られたが、本稿ではそのテクニックを紹介しよう。