この度、江戸時代に刷られた木版「古今和歌集」春の歌(上)の和歌を出品いたします。
百人一首35番、紀貫之の和歌「人はいさ心もしらす故郷は花ぞ昔の香に匂ひける」は、有名な和歌の一つです。
この木版は、糊付けなどはしておりませんが、このまま額縁に入れた状態で展示できます。
木版印刷は、複数刷られることが一般的ですが、その「書く作業」「彫る作業」「刷る作業」の工程や技術が評価される海外では、肉筆の書と同様に高い価値を持っています。
歴史的な背景を持つこの作品は、文化的な価値も兼ね備えています。
<年代について>
刷られた時期は1800年以前とされ、国立国会図書館にも同じ古今和歌集が掲載されています。
この貴重な作品を手に入れること江戸時代の文化を身近に感じることができるかと思います。
国立国会図書館のホームぺージのリンクはこちらです。
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<旧所蔵者について>
旧所蔵者は、仙台藩伊達家と仙台藩医師・大槻玄沢です。
<旧蔵者・大槻玄沢について>
宝暦7年9月28日生まれ。一関藩医・建部清庵に医学を、江戸で杉田玄白、前野良沢に蘭学をまなぶ。長崎に遊学後、天明6年江戸で仙台藩医となり、京橋に日本最初の蘭学塾「芝蘭堂(しらんどう)」をひらく。文政10年3月30日死去。71歳。名は茂質。字(あざな)は子煥。号は磐水、半酔半醒。著作に「重訂解体新書」「蘭学階梯(かいてい)」など。
<出品した木版古今和歌集の状態について>
経年による虫食い・焼け・黒ずみがございます。
糊付け等はしておりません。
<来歴について>
江戸時代に仙台藩伊達家に医師として仕えていた木村寿禎が収集し、所蔵していたものの中から出品しております。
所蔵されていたものの多くは、京都の公家(近衛家、鷹司家、九条家、大炊御門家)が書いた古文書でした。
伊達綱村(仙台藩第4代藩主)が近衛基熈を通じて公家の茶道具や古文書を入手したり、京都の公家の娘が伊達家当主に嫁いだ際に嫁入り道具の一つとして古文書を持参したため、仙台藩では公家が書いた書物を多数所蔵しておりました。
その後、一部の古文書は伊達家から仙台藩医の木村寿禎に渡り、木村家で代々受け継がれております。
<サイズ>
木版古今和歌集:縦26.3㎝、横18.9㎝
額縁:縦32.9㎝、横23.9㎝
<送付方法等>
・送料は落札者様のご負担となります。「おてがる配送ゆうパック」にて発送いたします。
・発送の際は、読み下し文と現代語訳もお付けいたします。
<かんたん決済の仕方について>
こちらに掲載されております。
かんたん決済の方法
<読み下し文>
(月夜に、「梅の花を折りて」と人の言ひければ、折る)とてよめる みつね
月夜にはそれとも見えす梅(の)花か(香)をたつねてそしるへかける(和歌番号三九)
はる(春)の夜、むめ(梅)のはな(花)をよめる
春のよ(夜)のやみ(闇)はあやなし梅(の)花色こそ見えねか(香)やはかくるゝ(和歌番号四〇)
はつせ(初瀬)にまうつることに、やと(宿)りける人の家に久しくやと(宿)らて、ほと(程)へて後にいたれりけれは、かの家のあるし、「かくさたかになんやとりはある」といひ出して侍(はへり)けれは、そこにたてりける梅(の)花をお(折)りてよめる
つらゆき
人はいさ心もしらす故郷(ふるさと)は花そむかし(昔)の香に匂ひける(和歌番号四二)
<現代語訳>
(月夜に「お宅の梅を一枝ください」と人に乞われたので、所望に応じて折ろうとして)詠んだ歌 凡河内躬恒
花も白く月の光も白いので、月夜にはどれが花だか見当がつかない。香りを目当てに探し求めれば、どれが梅花であるかわかるというものだ。(和歌番号四〇)
春夜、梅花を詠んだ歌 凡河内躬恒
春の夜というものは、たとえ闇夜であっても闇夜の役目をしないものだ。暗闇に咲く梅の花は、目にこそ見えはしないが、隠れようもない香気のお陰で、そこにあることが一目瞭然である。(和歌番号四一)
長谷寺にお参りするたびに、宿をとっていた家があったが、しばらくして、また訪れたところ、その家の主人が、「お宿はこのようにちゃんとありますよ」と言いかけたので、そこに植えてあった梅の花を折って詠んだ歌 紀貫之
そのようにおっしゃるあなたについては、さあねえ、お心はわかりませんよ。 しかし、このお馴染みのお家では、花のほうは昔のままの香りをかわらせて、咲いていますね。(和歌番号四二)
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