図録本 英国王室のローブ展 チャールズ皇太子財団公式認定 絢爛たる歴史と栄光の300年
東京富士美術館 発行
1989年
56ページ
約30x20x0.6cm
フルカラー
※絶版
日本で初めて公開された、英国王室のローブや勲章の展覧会図録。
イギリス王室貴族のローブ、正装や勲章を解説付きのフルカラー写真で紹介した、大変貴重な資料本。
【創立者あいさつ】
東京富士美術館、富士美術館(静岡)は、創立以来国際的な文化交流活動を通じて数々の世界の至宝を日本に紹介して参りました。このたび、チャールズ皇太子財団の深い御理解を賜り、栄光の歴史に照らされた英国王室のローブや勲章など絢爛たる大英帝国の歴史と伝統を物語る貴重な実物資料を特別に貸与いただき当館にて日本では初の公開のはこびとなりましたことは、創立者として誠に喜びに絶えません。
本年五月、日英両国の益々の友好親善を願って訪英した際、本展の英国代表者であるレディング侯爵よりその出品日録をうけ、また重ねて、本展開催にあたり、チャールズ皇太子殿下より貴重なメッセージを賜り、厚く御礼申し上げます。
英国の王室は、開かれた王室として常に国民から親しまれ、敬愛されて参りました。この度出品されるローブ等は、この歴代英国王室にあって、戴冠式や叙任式等の重要儀式で実際に着用されてきた誠に興味深いものであり、本展が英国の生きた歴史の側面を学ぶ好機となるとともに、日英両国の更なる文化交流と相互理解への一助とならんことを願うものであります。
最後に、本展実現のために寛大なるご協力を賜りました英川王室、チャールズ皇太子殿下、また多大なるご尽力をいただきましたレディング侯爵、エーデ・アンド・レイヴェンスクロフト社をはじめ関係各位に深く感謝の意を表し、ご挨拶とさせていただきます。
1989年10月
創立者 池田大作
【メッセージ】
私どもは、東京富士美術館が「英国王室のローブ展」を1989年10月から1990年1月まで、同館ならびに富士美術館の2つの会場で催されることに同意されたことを非常に嬉しく思います。私どもが収集しました礼装用のローブと正装の唯一のコレクションは、過去300年にわたる英国の国事に関する目に見える記録として役立てていただけるものと信じております。イード・アンド・レイヴェンスクロフト社は、法廷用、大学用、王室御用達および上院用の正装を世に送り続けて、創業300年を迎えました。職人の技術は創業以来ほとんど変わっておりません。また、イード・アンド・レイヴェンスクロフト社は、複雑な刺繍を機械任せでなく手づくりで行なっております。
私どもは、この展覧会にナイト爵位を含めることをご許可賜りました英国の女王陛下に心から御礼を申し上げます。
また、紋章院のご好意によりその制服を借用できたこと、ならびに、昭和天皇にガーター勲位の証明書を差し上げたのも紋章院であったことも申し添えておかねばなりません。ガーター勲章は本展の展示品の中に含まれています。
私どもは、このローブの展覧会が日英両国の文化交流に貢献するものと信じ、またそのように願っております。
1989年10月
イード・アンド・レイヴェンスクロフト社
創立300年記念委員会委員長
レディング侯爵
【序文】
イード&レイヴェンスクロフト社
創立300年記念委員会委員長
レディング侯爵
英国の儀式の遺産である伝統的なページェントは世界的に知られています。色彩豊かで、最高級の材質のローブやガウンは常にこうした儀式典礼の中心であり、デザインの多くは中世およびチューダー朝以来ほとんど変わっておりません。その中でも、王室の戴冠式用ローブは実に壮麗で、最も上質で最も高価な材質で作られ、賞金で入念に刺紬されています。また教会や国家を代表する参加者は、国王に敬意を表して礼服一式で盛装します。アーミンのトリミングとケープの付いた深紅のベルベットのローブをまとった貴族や、色彩豊かなローブと勲章を身につけた勲爵士、タバードを付けた紋章官、そして政府高官たちが、滅多に見られない、またー度目にしたら忘れられないほど見事な列を作って集合します。
戴冠式の他にも、定期的に礼服が着用され、何百万もの人々が見物し、嘆賞することのできる多くの行事があります。例えば英国議会開会式典には、女王の議会開会の演説を聴くために貴族、判事、政府高官、主教などが集まります。また、ウィンザーで毎年催されるガーター・セレモニーは、ガーター勲爵士と紋章官を伴った、膏いシルクベルベット裝のガーター・ローブを着用した女王や、その他の王室の方々を見ることのできる良い機会であります。司法年度の開始を告げる10月の大法官朝餐の儀では、最上級判事たちは黒のダマスク裝で金色のレースと手作りの金色のオーナメントを飾りつけた見事な黒とゴールドのガウンを着用し、高等法院の判事たちはアーミンで飾った緋色のローブを着用して、黒いガウンをまとった法廷弁護士たちと一締に、貴族院とウェストミンスター寺院の問を行進します。例年のロンドン市長選挙では、公民用ローブを着用する一連の行事が行なわれます。そこでは同業組合のメンバーの姿も見ることができますが、その役員たちは非常に多種多様な礼服を身に着けております。夏季には、学位授与式が国中で行なわれ、アカデミック・ガウンとフードを基調とした非常に多くのバリエーションを見ることができます。
英国王室のローブ展は、こうした行事に華やかな彩りを添えるだけでなく、伝統の重みを今に伝え、格式ある装身の美学を表現するローブの数々が展示されます。その伝統的でハイクラスの輝きは、鑑賞者の眼と心をとらえ、しばし羨望と感嘆の世界へいざなうことでしょう。
【内容】写真図版のタイトル一部紹介
●王室 華麗なる儀典・ロイヤルファミリーの装い
ジョージ6世、エリザベス王妃、エリザベス王女、マーガレット王女 戴冠式を終えて
プリンス・オブ・ウェールズ叙任式でのチャールズ皇太子
ジョージ4世の肖像(摂政皇太子時代)ほか
●貴族 正統を誇るノーブルの輝き
貴族の戴冠式用ローブ
身分に応じた戴冠式用ローブを着用する様々な階級の貴族(男爵、侯爵、公爵、伯爵、子爵)
貴族の議会用ローブ
身分に応じた議会用ローブを着用する様々な階級の貴族(男爵、侯爵、公爵、伯爵、子爵)
●英国紋章院 伝統と格式の香り高きシンボル
紋章院長官の緋色のコーティー
エリザベス女王、エジンバラ公と英国紋章院の官僚
紋章院長官のタバード
●ナイト爵位 栄誉あるエグゼクティヴの象徴
ガーター勲章
ガーター勲爵士の正装(エリザベス女王)
ガーター勲爵士の正装(チャールズ皇太子、クィーンマザーとケント公爵)
大英帝国勲爵士の正装(エリザベス女王)
あざみ勲章
聖パトリック勲章
バス勲章
バス勲爵士の正装
バス勲爵士の正装(チャールズ皇太子)
聖ミカエル=聖ジョージ勲章
ガーター勲爵士の行進
ロイヤル・ヴィクトリア勲章
大英帝国勲爵士の正装
大英帝国勲章
インド星勲章
インド帝国勲章
●自治体 栄光の歴史を刻むシビックの誇り
ロンドン市長 緋色のローブ
●法廷 威厳有るジャッジメントの響き
大法官
3種類の法廷用かつら
高等法院判事
●大学 キャンパスに流れる叡智と自由のスピリット
オックスフォード大学創立記念祭での行進
大学総長のローブ
大学総長 アン王女
イード&レイヴェンスクロフト社
事項解説
出品リスト