絶版希少本 大型愛蔵版写真集 入江泰吉 古色大和路 直筆署名入 落款印入 フルカラー写真129点
額装用別刷り写真<四季の大和路>全4葉
東大寺 興福寺と春日野 佐保路 西の京 斑鳩の里 山の辺の道 飛鳥路 室生寺
SCENES OF ANCIENT NARA by TAIKICHI IRIE
入江泰吉 著
保育社
昭和52年3刷 (昭和45年初版)
242ページ
定価 38,000円
英文解説付き
本体 型押し布張り上製本 約40x31x4cm
夫婦函 金箔押し布張り 約43x33x6cm
段ボール保護輸送用外函 約47x34x7cm
フルカラー
※絶版
※入江泰吉の直筆サイン毛筆署名・落款印入
特別付録、観賞用・額装用の別刷写真<四季の大和路>全4葉(約39x30cm)
小冊子「古色大和路 付録地図」付き。
※特別付録写真余白を中心に・裏側全面、また地図にも経年しみあり。
付録収納の専用封筒には、全体に経年しみが点在しています。
1960年代~1970年までの古都・奈良大和路の風景を、昭和を代表する写真家の巨匠、
入江泰吉がその心の目で捉えたフルカラー写真集。
風景写真、寺院、仏像など厳選された129点を収録。
カラー写真でありながら、あからさまな描写を抑えた作風は“入江調”と呼ばれ、
大和路の風土を象徴するような、しっとりと落ち着き、抒情性に富んだ表現で日本の心の風景を写し出している。
奈良大和路の風物とそこに息づく歴史、表情豊かな自然をこよなく愛した写真家・入江泰吉が見た「日本の心の風景」の数々。
今となっては失われた大和路の色調はまさに「古色」、
約50年前の当時物である本書はその当時最高峰の印刷技術で製本されたもの。
開けば古色大和路の風景画眼前に広がるような大型本。
重厚な布張り上製本・布張り夫婦函。見開きには入江泰吉の直筆サイン毛筆署名・落款印入。
白洲正子、犬養孝、山口誓子、永井路子、直木孝次郎等の寄稿も大変貴重な資料本です。
<別刷写真 四季の大和路>
箸墓の里と箸墓(山の辺の道)
夏の勝間田池と薬師寺東塔(西の京)
老杉と室生寺土塀(室生寺)
石舞台古墳(飛鳥路)
【目次】
<カラー写真>
夕靄の飛鳥
■東大寺
大仏殿遠望
東大寺南大門
鐘楼への石段
大仏蓮弁の線刻
東大寺講堂跡付近
二月堂裏参道
二月堂より大仏殿
二月堂暮色
不空羂索観音像(東大寺三月堂)
月光菩薩像(東大寺三月堂)
金剛力士像脚部(東大寺三月堂)
東大寺大湯屋付近
東大寺勧進所前
講堂跡礎石列
東大寺塔頭跡
広目天像(東大寺戒壇院)
戒壇院境内一隅
大仏殿前銅燈籠
■興福寺と春日野
猿沢池と興福寺五重塔
興福寺北円堂天蓋
金剛力士像部分(興福寺国宝館)
阿修羅像(興福寺国宝館)
旧山田寺仏頭(興福寺国宝館)
興福寺南円堂
白毫寺石段
荒池より御蓋山を望む
春日大社参道
雪の飛火野
春日奥山旧柳生街道
地獄谷の石仏中尊
旧柳生街道首切地蔵
旧柳生街道朝日観音
春日奥山原生林
■佐保路
平城宮跡
水上池落日
雨の興福院
十一面観音像(法華寺)
たちあおいと法華寺本堂
伎芸天像(秋篠寺)
木蓮と秋篠寺本堂
秋篠寺境内点描
■西の京
夏の勝間田池と薬師寺東塔
秋の薬師寺東塔
西の京の民家
薬師如来像裳裾(薬師寺金堂)
日光菩薩像(薬師寺金堂)
聖観音像(薬師寺東院堂)
聖観音像背面部分(薬師寺東院堂)
薬師寺東塔
東塔秋色
西の京早春
冬の勝間田池と東塔
唐招提寺金堂列柱
萩と唐招提寺金堂
千手観音像部分(唐招提寺金堂)
唐招提寺金堂正面扉
唐招提寺講堂
唐招提寺境内
唐招提寺戒壇
鑑真和上像(唐招提寺開山堂)
唐招提寺戒壇付近
■斑鳩の里
斑鳩の里の石仏
法隆寺五重塔
法隆寺中門
釈迦如来像(法隆寺金堂)
百済観音像部分(法隆寺大宝蔵殿)
天蓋天人像(法隆寺金堂)
法隆寺東院夢殿
天寿国曼荼羅繍帳(中宮寺)
菩薩半跏像(中宮寺)
西里の民家
斑鳩南里の民家
晩秋の斑鳩の里
斑鳩の里と柿
法起寺界隕
幸前より法隆寺を望む
■山の辺の道
和爾の里の石仏
大神神社参道
三輪山
大和三山(穴師付近より)
金屋の里と初瀬川
中山付近の古道
正暦寺付近の村里
渋谷の里の古道
箸中の里と箸墓
箸墓
朝靄の景行天皇陵
渋谷の立子塚古墳
立子塚から崇神陵への道
長岳寺門前
石上神宮
■飛鳥路
雷丘と畝傍山
飛鳥川の源流と栢森
稲渕の段畑
稲渕山の斑雪
石舞台古墳
川原寺礎石とれんげ畑
飛鳥川
越智岡を望む
古代の造形亀石
飛鳥大仏(安居院)
安居院の池庭
山田寺付近の山畑
甘樫丘より北を望む(遠景は耳成)
甘橿丘より西を望む(遠景は畝傍・二上)
雷の民家
雷丘の疎林
飛鳥大原の野道
香久山中腹景観
二上山暮色
本薬師寺跡の礎石
酒船石
長谷寺本堂
■室生寺
室生寺境内鎧坂
室生川と大磨崖仏
大野寺のしだれ桜
老杉と室生寺土塀
境内鎮守社前の石仏
錦繍の室生寺境内
雪の室生寺金堂
釈迦如来坐像(室生寺弥勒堂)
弥鞘堂残色
十一面観音像(室生寺金堂)
伝帝釈天曼荼羅板絵(室生寺金堂)
室生寺五重塔とその周辺
石楠花と五重塔
室生寺金堂秋色
室生山峡の民家
<テキスト>
序 前文化庁長官 今日出海
解説 東大寺 評論家 竹山道雄
興福寺 作家 永井路子
佐保路 大阪市立大学教授 直木孝次郎
西の京 俳人 山口誓子
斑鳩の里 法政大学教授 矢内原伊作
山の辺の道 大阪大学名誉教授 犬養孝
飛鳥路 大阪大学名誉教授 犬養孝
室生寺 随筆家 白洲正子
大和路遍歴 入江泰吉
あとがき
【あとがき より一部紹介】
大和の古寺風物を撮りはじめたのは終戦後である。
その作品を一本にまとめ「大和路」の題名のもとに世に出したのは昭和三十三年のことで、そして二年の後、その続篇をまとめた。
それを機会に、十余年間にわたる大和路遍歴に一応ピリオドを打って、新たな方向にテーマを求めたい考えであった。
ちょうどそのころ、ようやく進歩を遂げたカラー写真が、マス・メディアとして、急速に普及しつつあった。しかし私には、従来のモノクロームの世界に対し、捨てがたい愛着があり、そのうえ長い間モノクローム的なものの見方に慣れてきた、いわば色盲的な習性から、すぐさまポリクロームの世界に転向することに躊躇いもあった。
そんなことから、カラー写真は容易に手がけようとしなかったが、それでも、撮影に出て、たまたま絵を描く人たちを見かけたときなど、色を自由に駆使し、創作する画家を羨ましく思い、ポリクロームなピント・グラスの映像を、カラーに再現してみたい衝動にかられることもあった。
そんな衝動を重ねているうちに、ふと試みたカラー写真であった。
色盲の目に、初めて開かれた色彩の世界である。それ以来、カラー写真の魅力に惹かれていったのである。
大和路は豊かな自然に恵まれている。
その自然の色どりは、季節とともに、天候とともに、時間とともに、微妙な変化をみせる。
そうした多彩な自然のなかに、古代から伝わる多くの堂塔伽藍がたたずむ。
寺院建築や仏像彫刻などの仏教芸術については、造形的にすぐれた芸術性をもっていることは言うまでもないが、ことに仏法を象徴するその内面性による荘厳美とともに、千年の時代の流れに、おのずから成りたった古色美、そうした人工の及ばない自然の施した彩色の美しさがある。 豊かな、多彩な自然の色どりに、堂塔遺跡はいっそう美しく飾られ、そして自然もまた、堂塔遺跡の古色に、いっそう美しく映える。
千年の星霜につながる自然と人工との融け合い、そうした調和美こそ、他では味わえない大和路固有のすぐれた風物詩といえるだろう。
その美しさに惹かれ、ふたたびカラー大和路の遍歴を続けるにいたったのである。モノクローム時代から引き続き、カラー時代へと、大和路は私にとって、いよいよ離れがたい存在となった。それは戦災を契機にして、運命的なめぐりあわせとなったといえるかもしれない。
遅れ馳せながら、カラー写真を手がけるにいたったが、モノクローム写真にくらべ、むずかしい問題の多いことを知った。
カラーフイルムの発色性は、ものに具わる色彩のありのままを忠実に再現されるところから、対象からうける情感を表わすうえで、色彩を自由に、効果的に処理することは不可能である。
その点、モノクロームの場合は、無彩色ということで、かえってイメージを自由に広がらせることもできる。カラーの場合その最も効果的な色彩を現わすには、自然現象―光を仲介とする―の成りゆきに頼るしかない。自然現象の気まぐれな推移のうちの効果的な一瞬を捉えるには、時間と忍耐力を必要とする。
写真というものが、科学的な目、水晶体、そして網膜のみに頼る表現手段である以上、そのような苦労は当然であろう。
口の悪い友人曰く”齢六十を数え、色の道に惑うか”という次第である。
カラーによる再度の大和路遍歴もすでに十余年を数えるにいたった。
この作品集は、大和路をテーマとした作品集としては第三集にあたるが、前二集がモノクロームであるのに対し、これはカラーによるものだから、テーマは同じでも、その視点は異なり、したがって私としては第一集のつもりである。
作品は未発表のものを選んだが、私のとくに惹かれる場面で、その状況があまりに変貌して好ましくなくなり、新たに撮り直しができないため、止むなく一部既発表のものを挿入したことを、ご諒承ねがいたい。(中略)
新日本セイハンの社長室を訪ねたとき、数枚の油絵が架けられてあった。いずれも野村広太郎社長の作で、日曜画家の域を超えるできばえのものである。その社長が、会社にあっては、気にいらない校正刷りを破ることがおもな仕事と聞いた。この本の初校の段階で実に見事に色再現されていたのに驚いたが、初校とはいえ、おそらく、それまでに幾枚も破られていたにちがいない
だろう。私があまり色修正を要求しないのが不満のようだったが、なかには十色を重ねるほど精密な色再現を計られていて、文句のつけようがなかったのである。
丸山印刷でも丸山社長を陣頭に、特別班を編成して、私の志望する「古色再現」に最善の努力をはらってくださった。(後略)
【著者について】
入江泰吉(いりえたいきち)
一九〇五年 奈良市に生まる。一九二六年大阪に移り
一九四六年奈良に引揚げ、奈良・大和の風景、仏像写真の撮影に専念する。
現在、全日本写真連盟関西本部委員、日本写真家協会会員、国画会写真部会員、浪速短期大学教授。
一九四〇年全日本写真連盟主催の世界移動写真展に「文楽」を出品一等賞、同年日本写真美術展に「文楽」出品文部大臣賞をそれぞれ受賞、一九六七年
「奈良・大和路」観光ポスターにて、総理大臣賞を受く。
一九六一年奈良県文化賞、一九六七年日本写真協会功労賞を受く。
《主著》
一九五九年 創元社「写真集大和路」第一集
一九六一年 「写真集大和路」第二集
一九六五年 人物往来社「仏像の表情」
毎日新聞社「国宝」(写真撮影)
一九六八年 岩波書店「奈良六大寺大観」
(写真撮影)
一九六九年 三彩社「お水取り」