自宅保管の品です。大変美品ですが、古いもので経年変化はございます。8ページほどに上部に薄いシワがございます。ご理解頂ける方にご検討をお願い申し上げます。
女形から男伊達まで観客を魅了する菊五郎。代々が育て上げてきた名跡「菊五郎」の芸を七代目が初めて語る。蔵出し写真満載の一冊
内容説明
女方から男伊達まで、こぼれんばかりの「色気」で江戸の粋を立ちのぼらせる歌舞伎役者、尾上菊五郎。代々が育て上げてきた名跡「菊五郎」の芸を、七代目自身の言葉を交えて解き明かす。
目次
第1部 菊五郎という名跡
七代目菊五郎 襲名への道筋
七代目尾上梅幸 出生の秘密
初代から六代目 芸の伝承
第2部 七代目菊五郎とその芸
若衆の風情―「菊畑」虎蔵、「車引」「賀の祝」桜丸
変身する悪党―「弁天小僧」弁天小僧菊之助、「三人吉三」お嬢吉三
男伊達の粋―「助六」助六、「直侍」直次郎と三千蔵、「御所五郎蔵」五郎蔵
市井の人々―「魚屋宗五郎」宗五郎、「髪結新三」新三
耐え忍ぶ女―「合邦」玉手御前、「先代萩」政岡
踊り踊りて―「娘道成寺」白拍子花子、「鏡獅子」小姓弥生後に獅子の精、「吉野山」佐藤忠信実は源九郎狐
復活狂言と新作―「NINAGAWA 十二夜」捨助、坊太夫
忠臣蔵の決算―「忠臣蔵」判官、勘平
レビューより
個人的に、菊五郎丈については二十年来のファンです。まさにストレートな本書のタイトルにひかれて手にとりました。一部ではおおざっぱに菊五郎丈の襲名までの流れや父、梅幸の生涯、初代から六代目までの流れをさらい、音羽屋がどのような家かを明かし、二部ではいよいよ演目ごとの菊五郎論に入ります。桜丸、弁天、お嬢、助六、直侍、五郎蔵、宗五'郎、新三と立ち役を論じたあとで、女方の大役、玉手や政岡、それから舞踊の『鏡獅子』『道成寺』「吉野山」、新作として蜷川演出の『十二夜』のあと、真骨頂ともいうべき『忠臣蔵』の判官と勘平で結ばれます。ファンであるだけに、これらの役柄をほとんど菊五郎丈で観てきたため、他の役者とどこが大きく違うのか、どこが彼の特有の「色気」なのかを、かえってつきつめて考えたことがなかったのに気づかされました。それも本書の大きな収穫でした。
期待にたがわず、安きにながれている昨今の新書としては、渾身の力で書かれたすぐれた本でした。音羽屋、七代目菊五郎の芸は、さらさらとしているので、ここまで詳細に分析していくのは、大変だったろうと思います。本人の談話とともに、菊之助、寺島しのぶのコメントも効いています。良書だと思います。