このお菓子には、コーヒーがあいます
本当ならメランジェ(コーヒーとホイップした牛乳を混ぜた飲物)がほしいところ…。
さて、期待のお味は。
ザッハトルテの中味が厚焼きのザッハ生地一種類とアプリコットジャムの組み合わせなのに対し、
インペリアルトルテは実に複雑。
上がけのミルクチョコレートのすぐ下にはマジパンローマッセ(ローマジパン)が一層。
そしてチョコレートとアーモンドのずっしり詰まった層が幾重にも重なります。
フォークで切っている時から硬い手ごたえ。
ふんわりではなくどっしり。
口にするとアーモンドの香りが非常に強い。
わかりやすく言うと、
杏仁豆腐に使われる杏仁(杏の種の中味)のようなはっきりした香りがあります。
(表現が逆ですね。ふつう杏仁がアーモンドの香りに似ていると言われます)
食感は“ザックリ”。
ホロホロ…でもなくハラハラ…でもなく、
口の中で層が崩れていく感じ。非常に表現しにくい、
体験したことのない味わいです。
ややザラッと舌に触る感じもありますし、
複雑な構成、今までにあまり食べたことのない食感、
強いアーモンドの香り。
ミルクチョコレートというと甘いチョコレートというイメージがありますが
“チョコの甘さ”は全く気になりません。
印象が強いのはローマジパンのナッティーな味と香り。
ドイツ菓子にはローマジパンでお菓子を包み、
しっかりアーモンドの味わいを楽しむものも多い気がしますが、
オーストリア菓子はどちらかというとローマジパンを生地に練りこんで焼くことが多く、
そのままの形で食べるのはそれほどないかも。
(シュトーレンのセンターに、棒状のローマジパンを入れて焼くのは有名)
このお菓子が100年以上オーストリアの人に愛されてきたお菓子、と思うとこれをいただくのは実に貴重な体験。
日本人が好む「ふんわり」「しっとり」「ふわふわ」「もっちり」の対極をいく味わいに、異文化を感じます。
すごく美味しい?と聞かれたら、
それは慣れの問題かも、ときっとそう答える私。
小さい頃からナッツのペーストに親しみ、
濃厚なチョコレートと生クリーム、ナッツのかもし出す味わいに慣れていると、
このお菓子が世界で最も美味しいお菓子と即答するのでは。
ふわっふわのチョコレートケーキを期待して食べると全く違った感想を持つのは間違いありません。