1660年(万治3年)の木版「絵入源氏物語・梅が枝」です。梅が枝の巻は、香道で有名な「薫物合わせ」について書かれています。
<サイズ>
原本:縦15.1cm、横20.4cm
額縁:縦28.7cm、横21.3cm
※額縁の箱はございませんので、緩衝材に包み、発送いたします。
≪絵入源氏物語の出版年と発行者≫
林和泉掾(はやしいずものじょう)によって1660年に出版された。林和泉掾は、「出雲寺和泉掾」とも称し、京都を代表する書店であり、禁裏御用と徳川家の御書物師を勤めた名門だった。
≪国立国会図書館所蔵の公開について≫
今回出品したものと同じものが、
国立国会図書館のホームページに掲載されております。
≪「梅が枝」のあらすじ≫
光源氏39歳の春。年が明け、明石の姫君の裳着、東宮への入内を控えていた。光源氏は薫物合わせを思い立ち、太宰府経由でもたらされた舶来品である香木と、二条院にあった香木を用意し、紫の上、朝顔の姫君、花散里、明石の君に薫物の調合を依頼した。二月十日、螢兵部卿宮を迎え、薫物合わせが行われた。翌日の裳着の儀では、腰結役に望まれた秋好中宮もいちだんと光を添えて、類いまれなる華やかさであった。
<読み下し文>
御もき(裳着)のこと、おほ(思)しいそく御心をきて、よ(世)のつね(常)ならず。春宮もおな(同)し二月に、御かうふりのことあるべけれは、やがて御参りもうちつゝくべきにや。
正月のつごもりなれば、おほやけわたくし(公私)のどやかなるころほひに、焼(薫)物合せ給(たま)ふ。大弐の奉れる香とも御らん(覧)ずるに、なをいにしへのにはをと(劣)りてやあらんと覚(おほ)して、二条院の御くら(倉)あ(開)けさせ給ひて、から(唐)の物どもと(取)りわた(渡)させ給ふて、御らん(覧)じくらぶるに、「にしきあや(錦綾)なども、猶ふる(古)きもの(物)こそなつかしうこまやかには有(あり)けれ」と、ちか(近)き御しつらひのものゝおほひ(覆)、しき(敷)物、しとね(褥)などのはし(端)どもに、古院の御世のはじめ
<現代語訳>
姫君の御裳着の式についてご準備になる源氏の大臣のお心づもりは、世にたぐいないのである。 東宮も同じ二月に、御元服の儀があるはずであるから、ひきつづいて姫君御入内ということになるのであろう。
正月の末なので、公私ともに閑暇な時期で、そのころに薫物をご調製なさる。 大宰大弐が献上した香木の数々をごらんになると、なんといっても古来の品よりは劣っているのではないかとお思いになり、二条院のお倉を開けさせられて、唐から渡来の品物をいろいろ取り出させお運ばせになって、大弐のと比べてごらんになったが、「錦や綾などでも、やはり昔のもののほうが好ましいし、上質にできているのだね」とおっしゃって、姫君が身辺にお用いになる御調度品の覆い、敷物、褥(しとね)などのそれぞれの縁どりには、亡き上皇の御治世の初めのころに
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