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Access 2000の中上級者向けノウハウ集。かなり高度なテクニックをステップごとにていねいに解説
ステップ図解シリーズは,本来,基本操作を中心に,ステップごとに図版を使って解説していく解説書だ。そこから発展して基本編や応用編,そして本書のようなウラ技編などといったバリエーションが増えてきている。当然,同じアプリケーションを扱っていても,本のバリエーションによって難易度が異なる。
Access 2000の場合も,初心者向けの基本テクニック編と中級者向けの応用テクニック編があり,本書はどちらかといえば中級者から上級者向けになる。ちなみにAccessは,マイクロソフト製品の中でも個人向けの高機能データベース・アプリケーションとして位置付けられている。サーバー用あるいはビジネス用のSQLサーバー・シリーズや,本来表計算用だがデータベース用にも転用できるExcelの中間にあたるアプリケーションといった方が分かりやすいだろうか。少なくとも,Accessを使いこなすためには,Excelを扱う場合よりも高い能力が要求されることは間違いない。
それを踏まえた上で本書を見てみると,難易度の高いAccessの中でも基本テクニック編や応用テクニック編では解説しきれなかった一歩進んだノウハウを集めた構成になっている。レイアウト的には,フルカラーでかつ各図版(画面キャプチャー)には,操作(クリック)ポイントに対して操作順に番号をつけてある。そのため,初心者でも指示されたステップどおりに操作できれば,同じテクニックを再現できるはずだ。だが,そのベースになる技術まで身に付けられるかどうかは読者の能力次第といえる。
各項目ごとに設けられた「ワンポイント」コーナーや,各章末の「コラム」には,本編でフォローしきれなかった部分の解説があるので,ある程度の知識や経験を持った読者なら,これらを使って自分なりに応用することも可能だろう。だが,裏を返せば,そうしたユーザーでなければ,本書はそれほど価値のある解説書とはいえない。
ステップ図解という名のとおり,各項目とも原則見開き2~4ページでコンパクトにまとめているので,ともすれば説明が簡潔すぎるきらいもある。本書の内容を正確に理解できなければ,ノウハウがただ並べられているだけで,必要な機能を探し出してそれをそのまま写すくらいしか利用価値がなくなってしまうからだ。そもそも,紹介されている項目は約80項目あるのだが,ここに出てこない機能やテクニックを使いたければ,他のドキュメントを調べなければならない。つまり,読者の能力や使い方によっては,かえって使いづらい書籍になりかねない。
もし,読者がAccess 2000ビギナーなら,まずAccess 2000の基本的な知識を正確に身に付けることだ。そして,それらでは物足らなくなったり,より実践的なノウハウが必要になったら,そのときに初めて本書を手にとる資格ができると考えてもらいたい。さもなければ,宝の持ち腐れになってしまう可能性が高いはずだ。 (アンク 第二開発部 鍋島 直樹)
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