・書籍名 : The New Haworthia Handbook
・著者名 : Bruce Bayer
・出版社:National Botanic Gardens of South Africa, Karoo Botanic Garden, Worcester
・発行年:1982年
・形式 : 洋書(英語)、171×242mm、124ページ、ソフトカバー
手元に1冊だけ余部があるので出品します。一部角潰れ、背表紙に折れ跡、若干スレ傷はあります。内部はやや紙焼けを感じますが、他に大きな欠点はなく、約30年前の書籍としては状態が良いと思います(写真参照)。
<書籍説明>
本書は1982年当時のHaworthia属全種リビジョンとなります。その後の分類学的な変更を1999年の'Haworthia Revisited: A Revision of the Genus'と2002〜2012年の'Haworthia update 1〜11'が、やや薄めのジャーナル形式で出版されています。
著者は南アフリカ共和国出身のMartin Bruce Bayer(マーティン・ブルース・ベイヤー、1935〜2023)となり、カルー植物園に席を置き、世紀を跨ぐ形でのHaworthia属のオーソリティとなります。1970年代から先駆的にHaworthia属の分類学的な研究を開始し、その後、緻密なフィールドワークと共に分類学的な研究を続け、様々な書籍の出版やジャーナルへの投稿を行ってきました。残念ながら、昨年の10月に逝去しました。
Haworthiaは亜属レベルと種レベルの分類が非常に難しいようで、同種内とされていても集団間で変異が大きく、また同集団内でも様々なタイプの出る種もあります。
国内では数年前に一時、流行に火が付き、選抜や掛け合わせによる改良品種や斑入り系統が、目が飛び出るような高値で取引され、多肉ハウス泥棒がニュースで報じられいたのも本属目当てが多かったと聞き及んでおります。
一方で、株はコンパクトに収まり、ある程度日照を確保できる室内でも育ち、株分けによるクローニングによってかなり簡単に増殖が効くことから、旺盛な市場の需要に応える事ができ、ポピュラーな属として国内の多肉植物市場に定着しました。現在では、多肉植物を扱っているお店で見ない事の方が珍しくなり、花屋やインテリアショップでも良く見かけます。
ポピュラーな園芸種として定着すると忘れがちですが、本書はHaworthiaは南アフリカ地域の野生種である事をまざまざと見せてくれます。内容としては、1982年当時のHaworthia全種の分類学的な整理をし、株写真、検索表、形態記述、分類学的交雑、シノニムリスト、分布、各地域の変異、著者別の各種文献の索引等の分類学的な整理を行った硬派なリヴィジョンとなり、小振りな書籍の割に情報がギッチリ詰まっており、よくまとまっているなと感心します。
現在のHaworthia分類学における大元の起点は本書となり、名著'Haworthia Revisited: A Revision of the Genus'と並んで重要文献の一つとなります。この手の分類学書はある程度まとまった古い文献がないと古参学名の根拠が判らなくなりますので、Haworthiaをやりこんでいる方々は手元に置いておきたい1冊かと思います。