Ch. ダルマイヤックは、故フィリップ・ロートシルト男爵がポイヤックに所有した他の2つに比べて知名度が低く、ワインの魅力においても見劣りすると言われてきましたが、1980年代半ばから品質の向上が認められ始め、1990年代半ば以降は現実的な価格のついた秀逸なワイン(オークの香りは控えめ、心地よくバニラのニュアンスが香る飲み口の柔らかい親しみやすいワイン)を産み出しています。1976年に他界した男爵夫人のためにムートン・バロンヌ・フィリップと改名されていた晩年のボトルは、そのエチケット・デザインの美しさもあって、コレクターズ・アイテムとなっています。(1989年のヴィンテージからは再びダルマイヤックという名称に戻り、現在に至っています)
ロバート・パーカー氏は次のように述べています。
「このシャトーは近年大幅に良くなり、昔より凝縮感や濃厚さが見られるようになった。1989年までは一般的に健全だが興奮させられるようなものではなかったのだが、1995年以降では一貫して優良から秀逸となっている。ムートン・ロートシルトとクレール・ミロンの陰になっているおかげでいまだにリーズナブルな価格で手に入れることができる。抜け目のない消費者ならば、特に良好なヴィンテージのものは探し求めたいところだ」
そして2005年VTに対して90点〜93点(Robert Parker Wine Advocate Apr 2006、及びApr 2007)を与え、次のようなコメントを添えています。
「2005年のダルマイヤックは、安定した仲間であるクレール・ミロンよりもさらに優れていると思う。クレーム・ド・カシスのような素敵な香り、美しいテクスチャー、明るさ、甘いタンニンが漂うこの作品はミディアムボディからフルボディで、2005年ボルドーとしては比較的親しみやすいが、瓶詰め後は間違いなくタンニンが多くなるだろう。私が今まで味わった中で最高のダルマイヤックの1つだ。もう4年〜5年で飲めるようになり、20年以上美味しく飲めるだろう。予想される飲み頃 2011年から2031年」
パーカー氏の直近の評価は90点(Wine Advocate #219 Jun 2015)となっていますが、良好なヴィンテージだけに十分寝かせてからの他のワイン誌の評価は良好です。
ジェーン・アンソン(デキャンター誌)93点 (2022年6月)
「野イチゴの香りが漂い、芳香が高く、トーストと葉巻が優しく包み込む。また、タバコ、森の下草、当時の伝統的なエレガントで上質なアルメニャックを彷彿とさせる。まるでサン・ジュリアンにいるような気分になり、その後、より力強いポイヤックのタンニンがやって来る。複雑さとフレッシュさを兼ね備えた調和のとれたワインだ。カベルネ・フランがフィニッシュに塩味を与えてくれる。30分程経つと、燻煙と大豆の香りが立ち昇り始めた。新樽使用率25%。ワインメーカーを務めたジャン・ポール・ヴェツァルト氏は、当時アルメニャックとクレール・ミロンのワインメーカーを兼務していた。」
ヴィノス誌91点(2021年5月)
「2005年のダルマイヤックは、ちょうど今、ワインが開いてゴージャスな魅力が解放されている。アロマティックなニュアンスの初期の兆候が現れ始めているが、少なくとも、あと数年はとても美味しく飲めるはずだ。率直に言って、2005年の新鮮さには驚いている。ドライフラワー、杉、ミント、パイプタバコ、甘い赤い色調のフルーツ等、すべてがとても生き生きとしている。今飲むのに手頃な価格で成熟したクラレットを探している読者はきっと気に入るだろう。」
セパージュは、カベルネ・ソービニヨン60%、メルロー29%、カベルネ・フラン10%、 プティ・ヴェルド1%