1曲のオリジナルとスタンダード、ジャズメン・オリジナルで全10曲。おおっ、なんか今までのアルバムと違って
1曲目か威勢がいいねぇ。ゲスト的に参加しているサックス効果が関係しているのかな。曲調もいかにもって感じ
のハードバピッシュなやつだしね。2曲目はマイルス曲の「Flamenco Sketches」じゃないの。ミュートを使って
ゆったりとブルージーに演奏していて、これはこれでいいのだが、私だったら1曲目と2曲目の間にもう一曲アップ
テンポな曲を挟むな。バラード系の曲が出てくるのはまだ早いっすよ。と思っていたら3曲目で超アップテンポ
の曲「What Is This Thing Called Love」が。そうか、これの順番を逆にすればちょうどよかったんだ。
なんて思いながら聴いているのだが、本作でのファリナッチは今までよりはストレートにガンガン吹いているよう
な気がする。曲によっては弱々しさもあるけれど、ようやく吹っ切れたなって感じ。というかこれが彼本来の姿な
のだろう。やはり今までの静寂なイメージ自体がM&Iによって作られたものだったんだな。それにしてもフレーズ
的にはウィントンによく似ている。リップコントロールはいまいち敵わないけれど、人間味があってむしろこれぐら
いの方がちょうどいいね。それとフレディ・ハバード的な部分も垣間見れる。こんなところをもっと前面に押し出す
とワイルドでいいんだけどなぁ。注目のミヤコ・カタクラは、テナーが参加していることもあったりしてアドリブ的
にはあまり出る幕がないが、バッキングのハーモニー感覚だけでもセンスの良さがよく分かる。音出しのタイミング
も本物だね。8曲目「My Funny Valentine」でのハンコックをもろパクったようなアドリブ(バッキングをやっている
ときからそう感じていたが)には思わず大笑い。なかなか愛嬌があっていいですな。アルバムとしては結果的にはや
はり静的な曲が多いけど、6作目にしてようやく私の好みにフィットしてきたかなって感じ。でも現状ではこれ以上の
歩み寄りはないと思う。あとはレーベルの移籍を期待するだけだね。ファリナッチだったらクリスクロスが最適だと
思うけどなぁ。
1 The Things To Do
2 Flamenco Sketches
3 What Is This Thing Called Love
4 The Pursuit
5 I Can't Get Started
6 Visions
7 Peyote
8 My Funny Valentine
9 Memories
10 Mona's Mood