希少大型本 日本犬 柴犬 北海道犬 秋田犬 甲斐犬 紀州犬 四国犬 戦後昭和の名犬
日本犬保存会・秋田犬保存会・秋田犬協会・北海道犬保存会・紀州犬保存会・甲斐犬愛護会・柴犬保存会 5年間の名犬写真 血統図
種別の解説 仔犬の選び方 繁殖の理論 付 飼育と管理 ほか
長倉義夫 編著
広田尚敬 写真
講談社
1972年
約34.5x26.5x4.2cm
247ページ
函入 型押し布張り上製本
※絶版
30年・40年と日本犬への奉仕を続けてきた多くの研究家・功労者・権威者・実際家がこぞって寄稿。
飾り気のない、実際の状況や体験談などを惜しみなく公開し、戦後昭和の日本犬についての貴重な記録である本書は、
永久に日本犬に関する文献として、これからの斯界の発展にも大いに役立つ内容。
巻頭約50ページほど、現代の名犬として、日本犬単独団体の過去5年間の優秀犬
日本犬保存会・秋田犬保存会・秋田犬協会・北海道大保存会・紀州犬保存会・甲斐犬愛護会・柴犬保存会の会別に、
整理分類し、カラー写真(一部モノクロ)約150点、
犬名、性別、受賞(総理大臣賞、農林大臣賞、文部大臣賞、名誉賞、総合1席、総合2席~、全犬最優勝など)、
犬籍登録番号、所属犬舎、生年月日、所有者名、血統図を収録。
四国犬・紀州犬の初期の歴代名犬モノクロ写真各3点も収載。
モノクロ本文テキストページでは、日本犬の概要 日本犬の詳説、日本犬単独団体の審査標準、秋田犬 北海道犬 紀州犬 四国犬 甲斐犬 柴犬 各犬種の沿革や由来、性能特徴、仔犬の選び方、
土佐犬、日本狆についても少し述べる。
また、各犬種の歴代名犬の写真も多数掲載。
第3編では日本犬繁殖の理論、日本犬に特化した飼育と管理についても多数の図版や表などを用いて詳細に解説。
執筆者の他、日本犬保存会をはじめ秋田犬保存会・秋田犬協会・北海道大保存会・紀州犬保存会・甲斐犬愛護会・柴犬保存会など、
現在まで斯界の発展のために貢献してきた、諸団体からの貴重な文献の貸し出しや材料の提供を受け、
巻頭には渡辺肇氏秘蔵の日本犬と日本人とのかかわりが見て取れる浮世絵も掲載。
人間社会生活が著しく変貌する中、日本犬本来の持ち味が減退しつつある点、
まだ充分に残っている特徴をどのようにして保存していけばよいか、各執筆者がその具体策は何処にあるのかを探し求めようとする意欲に溢れる。
本書掲載の、日本犬の標準に示された特徴の温存について、日本犬界の最大の課題としている。
些かでも役立つものが本書のどこかに見出せるなら幸いである、と編者の長倉義夫があとがきで語る。
カラーの写真は刊行当時、鉄道写真家「SLの広田」として有名な、広田尚敬が日本各地の名犬を取材して撮影したもの。
今となっては大変貴重な内容盛りだくさんの、日本犬愛好家、愛犬家必携の大変貴重な資料本です。
【序文より】
原始の魅力 近藤啓太郎
愛犬家で中途半端を嫌う性格の者は、日本犬かブルドックのいずれかを飼う。他の大種は飼う気がしないという。その理由は、世界の大種の中で、最も原始的なものが日本犬。最も人工的なものがブルドックだからである。
日本犬は数千年来、われら日本人と共に、この国土に純血を保ちながら生き抜いてきた。日本は島国であり、その上、江戸時代の鎖国政策によって、日本犬の純血が保たれてきたのである。
が、明治時代の文明開化と共に移入された西洋犬によって、急激な雑種化が全国的に発延し、大正を過ぎ、昭和に入った頃になると、もはや山村へ行っても日本犬は見られなくなってきた。心ある愛犬家はこの事実に気がつくと、日本犬保存の急務を痛感すると同時に、日本犬の保存団体を結成した。
熱心な日本犬愛好家は日本全国の山間僻地を踏査して、日本犬の発見に努めた。幸い、日本犬の中型・小型は古来より猟性能にすぐれており、山間地の猟師たちは先祖代々、熊猟用・猪猟用、あるいは鳥猟用に日本犬を飼育していた。原始時代からの日本犬がそのままの姿で、数は少ないながら猟師の手によって保存されていたのである。
日本犬愛好家はそれらの日本犬を猟師から購入してきて、苦心して飼育した。所謂「山出し」の犬によって飼育繁殖が始められ、今日まで継承されてきた。その間、戦争などによる紆余曲折はあったが、心ある日本犬愛好家の苦心によって、今日まで日本犬の純血は確かに保存されてきたのである。
従って、世界の犬種の中で、日本犬ほど原始的な犬は他にない。日本犬は脚が短く、頭が大きく、鋭い眼を持ち、無愛想で、闘争性が強く、姿態・性格共に、およそスマートではない。が、スマートではなく、地味で素朴な点に、日本犬のいのちがあるのであった。
日本古代の自然の一部がそのままの姿で、今日われわれの眼の前に生きていると云えるのが、日本犬である。日本人は自然との同化を好む性情を有するが故に、日本犬は永遠にわれらの伴侶として愛されるであろう。
【目次】
写真(カラー・モノクロ)
浮世絵の日本犬
現代の名犬
日本犬単独団体の過去5年間の優秀犬
日本犬保存会
秋田犬保存会
秋田犬協会
天然記念物 北海道犬保存会
天然記念物 紀州犬保存会
天然記念物 甲斐犬愛護会
天然記念物 柴犬保存会
仔犬たち
思い出の名犬
(本文)
第1編 日本犬の概要 日本犬の詳説、日本犬単独団体の審査標準、秋田犬 北海道犬 紀州犬 四国犬 甲斐犬 柴犬 各犬種の沿革や由来、性能特徴、仔犬の選び方、
日本犬の祖先
資料に見る日本犬
日本犬保存の概況
日本犬の区分と現況
日本犬の味わい
第2編 日本犬の詳説
日本犬単独団体の審査標準
秋田犬
1.秋田犬の沿革とその将来
2.秋田犬の性能と特徴
3.秋田犬の主流、血統解説ならびにその思い出
4.秋田犬の仔犬の選び方
北海道犬
1.アイヌ人と北海道犬
2.北海道犬の由来
3.北海道犬の性能と特徴
4.北海道犬の用途
5.戦前の北海道犬と天然記念物
6.北海道犬の現況と将来
7.絵で見る北海道犬
8.北海道犬の仔犬の選び方
紀州犬
1.紀州犬の由来
2.紀州犬の性能と特徴
3.紀州犬の飼育と管理
4.猟犬としての紀州犬
5.紀州犬の現況と将来
6.紀州犬の仔犬の選び方
四国犬
1.四国犬の由来
2.四国犬の性能と特徴及び用途
3.四国犬の現況と将来
4.四国犬に関する緊急の課題
5.四国犬の見方
6.系統繁殖に関する考察
7.四国犬の仔犬の選び方
甲斐犬
1.甲斐犬の由来
2.甲斐犬の原産地
3.甲斐犬の性能と特徴
4.甲斐犬と狩猟
5.甲斐犬の現況と将来
6.甲斐犬の仔犬の選び方
柴犬
1.柴犬の由来
2.柴犬の産地
3.柴犬の性能と特徴
4.柴犬の現況
5.これからの柴犬に望む
6.柴犬の見方
土佐犬
日本狆
第3編 繁殖の理論 付 飼育と管理
日本犬の繁殖
日本犬の繁殖手技
犬の遺伝
犬の行動
仔犬の生活
日本犬の食餌
日本犬の栄養素
日本犬の病気
犬展の開催と意味
掲載写真の犬名一部紹介
日本犬保存会
第二理号(牝)
第44回全国展 農林大臣賞
日犬籍 中型22388号
犬舎 松濤荘
生年月日
所有者 昭和35年11月30日
東京都 根本力郎
血統図 (ここでは略)
長峰号(牡)
第45回全国展 文部大臣賞
日犬籍 中型24401号
犬舎 槇の木荘
生年月日
昭和36年11月9日
所有者 武生市 栗塚光夫
血統図 (ここでは略)
倉田のイシ号(牡)
第45回全国展 農林大臣賞
日犬籍 小型19235号
犬舎 安濃倉田荘
生年月日 昭和39年3月5日
所有者 東大和市 倉田みつ子
血統図 (ここでは略)
以下、犬名等一部紹介
■執筆者(執筆順)
第1編
早稲田大学教授・文学博士 直良信夫
日本犬保存会審査部長 渡辺肇
第2編
秋田犬保存会審査部副部長 石黒申一
秋田犬協会専務理事 石原勝助
北海道犬保存会関東支部長 板井一雄
日本犬保存会元審査員 岩橋恒二
日本犬保存会審査員 安原峻一
甲斐犬愛護会東京支部長 柳沢琢郎
甲斐犬愛護会 市川善通
日本犬保存会審査員 石川雅宥
日本犬保存会審査員 栗原良輔
元宮崎大学教授・農学博士 長倉義夫
第3編
元宮崎大学教授・農学博士 長倉義夫
装丁 辻村益朗
レイアウト 安野光雅
【日本犬の魅力 あとがきに代えて】 より一部紹介
長倉義夫
…さて、本書の編集を終えるに当って、日本犬への奉仕、30年・40年という大変に長い間御苦労を重ねてこられた多くの研究家・功労者・権威者・実際家が挙ってこの「日本犬」に御寄稿いただけたことをまず感謝しなくてはならない。飾り気のない、実際の状況や御体験を吐露していただけた点には、殊に感銘が深く、この貴重なる記録は、永久に日本犬に関する文献として、これからの斯界の発展にも大いに役立つことであろうことは疑いのない所である。
本書は、本文の執筆者諸賢の他に、日本犬保存会をはじめ秋田犬保存会・秋田犬協会・北海道大保存会・紀州犬保存会・甲斐犬愛護会・柴犬保存会など、現在まで斯界の発展のために貢献されてきた諸団体からの貴重な文献の貸し出しや材料の御提供をいただいてでき上ったものである。また、巻頭には渡辺肇氏秘蔵の浮世絵を提供していただいた。ここに併せ記して感謝する次第である。
御通読いただくと判ることは、日本犬各型が何れも、その本来の持ち味が減退しつつある点を心配していることに共通な悩みがある点である。まだ充分に残っている特徴をどのようにして保存していけばよいか、各執筆者がその具体策は何処にあるのかを探し求めようとする意欲に溢れていることに気付くことであろう。
現実に人間の社会生活が著しく変貌しつつあるが、人に飼われる運命の犬にも、当然その影響は及んでこなくてはならないであろう。これを拒むことは事実不可能である。しかし日本犬の標準に示された特徴の温存には、ある程度の現代生活への抵抗が為されない限り、不可能なことではあるまいか。ここらあたりの関連をどのように具体化していくかが、これからの日本犬界の最大の課題であるようである。
この課題に些かでも役立つものが本書のどこかに見出せるなら、本書の編者の一人として望外の喜びを隠し得ないのである。
■写真資料提供(五十音順・敬称略)
秋田犬協会・秋田犬保存会・阿部良一・石川和助・石川雅宥・石黒申一・石橋為次郎・磯川鶴夫・板井一雄・市川善通・伊奈孝子・岩橋恒二・魚住進・宇治田昌彦・榎本信行・小川太三郎・甲斐犬愛護会・梶政信・河上豊男・神戸三郎・紀州犬保存会・栗原良輔・小早川千鶴子・佐々木義美・佐野良雄・志賀安司・柴犬保存会・杉田忠男・高橋清夫・高村茂・竹内隆男・田中渉・直良信夫・長倉義夫・中島凱風・中野紀男・日本犬保存会・蓮田昇・早川正・疋田富造・福島健三・北海道犬保存会・本間徳弥・松井正彦・三塚譲次郎・満田出生・向井俊人・本幡昭・安原峻一・柳沢琢郎・山川精二郎・横田祐司・若田曠・渡辺肇
【掲載犬一部紹介】
日本犬保存会
第二理号 長峰号 倉田のイシ号 南春女号 大和号 光紅号 獅子小町号 藤浪号 国姫号 紅駒号 誉富士号 駒市号 桔梗号 ほか
秋田犬保存会
玉雲響号 喜栄姫号 玉桜号 雲響号 清号 大国号 吉美号 圭草号 回天号 雲丸号 圭雲号 白百合号 ほか
秋田犬協会
優貴号 越ノ宮姫号 白鵬号 白雪姫号 珠基号 圭優号 開運号 ほか
天然記念物 北海道犬保存会
藤信号 マリモ号 乙姫号 恵雄号 美久号 照風号 知号 雄智姫号 呑龍号 恵姫号 第二千代姫号 呑熊号 ほか
天然記念物 紀州犬保存会
香南号 熊野入姫号 来香号 紀伊号 白百合号 辰市号 第一豊女号 富士の鉄号 ほか
天然記念物 甲斐犬愛護会
富士姫号 健号 峰月号 久狼号 巨摩姫号 鉄狼号 駒姫号 甲斐くま号 チル号 一太狼号 ヤマ号 虎狼王 ほか
天然記念物 柴犬保存会
滝号 中コロ号 若紅王号 黒花号 紅太郎号 紅中赤号 関の紅女号 紅駒王号 峰太郎号 氷川の哲姫号 城南紅太郎号 若コロ赤号 石の若丸号 ほか
思い出の名犬 モノクロ写真のみ
<四国大>
楠号
日本犬保存会第5回展文部大臣賞
ゴマ号
日本犬保存会第6回展文部大臣賞
長春号
日本犬保存会第7回展文部大臣賞
<紀州犬>
コロ号
イチ号
義清の鉄号