◆趣味のペルシャ猫
1960年代、イギリスとソ連の支配から脱却したイラン・ペルシア帝国(※後のイラン・イスラム共和国)は、パーレビ国王の下、石油で豊かに繁栄してました。
しかし、油田を狙ってソ連が執拗に侵攻して来ます。そこでペルシャはアメリカから次々と戦闘機を買ってました(パーレビ国王の頃のイランは親米国)。
まずF-5Aを揃え、次にF-4DファントムⅡを購入。F-5Aが老朽化したら新型のF-5Eに機種転換。ファントムも最新型のF-4Eに機種転換してます。オイルダラーのお陰で金が有り余ってるペルシャ帝国。
しかし、ソ連がマッハ2級のMig25フォックスバットを使って領空侵犯を始めると、ファントムですら追いつけず、撃墜も出来ず逃げられるとゆー。
これにパーレビ国王が激怒。ソ連に対抗するため最新鋭の戦闘機を揃える事になりました(金ならある!)。
この候補として挙がったのがアメリカ最新鋭のF-14トムキャットとF-15イーグル。
F-14はF-15よりも1千万ドル(≒12億円)ぐらい高いのですが、お金は持ってるペルシア帝国。
国王陛下が気に入った(※パーレビ国王はパイロット免許を持ってるので自ら操縦してみたというウワサあり)。というのもあるのですが、帝政イラン空軍はF-14の方を選びます。
F-15が敵の戦闘機を撃ち落とす戦闘機であるのに対し、F-14は艦隊を守る事に特化した戦闘機なので、防空能力はF-14の方が優れてるのです。
F-14のレーダー探知距離は207km。装備するフェニックスミサイルの射程は200km。
これに対し、F-15のレーダー探知距離は150km、装備するスパローミサイルの射程は30km。
うん。勝負にならない。
また可変翼機であるF-14は低速でも高速でも安定した飛行と、高い機動性を誇ります。
でもF-15よりも12億円高いので、イラン以外の各国はF-14ではなく、F-15を選択しました。
お金持ちのペルシャ帝国は、80機のF-14を発注。フェニックスミサイルも714発購入。パイロットを米海軍ミラマー基地に送り込み、アメリカで訓練させました。
整備もグラマン社に任せるため、グラマン社から800人の技術者をイラン国内に常駐させてます(費用はペルシャ帝国持ち)。
イランは高地にあるので、レーダー網を構築し難い。という地理的な条件がある為、イランはF-14を空中レーダー基地みたいな感じで使いたかったみたいです。F-14と同時に空中給油機も購入してるので、艦隊上空を哨戒飛行する米海軍と同様の使い方をしたかったみたい。
しかし、1979年のイスラム革命で、イランはイラン・イスラム共和国に変わり、反米国家になってしまいました。
翌年の1980年にイランイラク戦争が勃発しますが、高性能なF-14は実戦で活躍。イラク軍のMig25やミラージュF1を撃墜してます。
その後、イランが完全に東側になってしまった為、武器輸出禁止。F-14の部品も無くなり、一時は5機しか稼働できない状態になってました。
が! イランはF-14の部品をアメリカから密輸。更に部品を独自に製造。戦闘機のオーバーホールセンターを作り、レーダーやミサイルなどを国産やソ連製に乗せ換え魔改造。
信じられない事に、60機近いF-14が近代化改修され、実戦配備されてる模様です。
オイルダラーで潤ってた頃と異なり、新型戦闘機を買えないので、今ある高性能機を直して使う。みたいな感じです。
未だにF-14を現役で使用してる唯一の国であり、飛べるF-14を持ってる唯一の国であり、F-14で最大の戦果を挙げてる国、それがイラン。