直流三線式 32mm Oゲージ、オリジナルメーカー:クマタ(KMT) 輸入販売元:NJ CustomBrass(USA) 製作輸出年:1970年代前半
実機E-2(又はEP-2)は今から100年以上前1918/19年 Alco/GeneralElectric(GE)により5輌製造された超大型電気機関車、通称BiPolar、Milwaukee線で40年近く活躍後1961年廃車。
界磁極2つのBiPolarMotor12台を機関車台枠に直接取付けた設計から名付けられ、片側台車枠三+四区画、動輪12軸、先従各1軸、
ホワイト式1-B-D-D-B-1のユニークな軸配置、曲がりを吸収できる前後連接型構造(中央:客車暖房供給用SG、前後:電気機器/運転室)、最高時速145km/h。動輪数12軸及び全長23.16 mは共に蒸機BigBoy機関車(炭水車不含)を凌ぎ、現在同機はSt.Louis交通博物館に静態保存されている。
鉄道愛好家にとってその頃を代表するモデルの妥協は許されず、可能な限り実機に近づける努力を惜しまなかった。
KMT真鍮製E-2オリジナルモデルが1970年当初販売されると、愛好家はその真鍮製モデルに飛びつき買い求めましたが、やがて下廻りドライブ方式に問題ありとの指摘がなされるようになりました。
すなわち、先(従)輪は一軸のみで、大きさがその後の動輪より一回り小さく、実機と同じ1-B-D-D-B-1でなければなりませんが、オリジナルモデルでは先輪後二軸Bが動輪になっておらず、(1+2)-D-D-(2+1)になっているというのがその主旨でありました。
愛好家からはこの問題改善と、パワフルなE-2イメージとはかけ離れた華奢(きゃしゃ)なモータードライブに対し、大幅性能向上が提案され、その提案を精密工作では周知の巨匠Stewart(Stu)Kleinschmidt氏(KES ENG社)が請負った。
(Stu氏は、米国Oスケールモデリングの開発と歴史への貢献者を称える団体O Scale Hall of Fame(栄誉殿堂)から独自の装置開発者として2003年栄誉殿堂入り、その後同じく2016年外国人として初めて殿堂入りされた祖父江氏とも多数のモデルを通じ交流があり、日本のOゲージにも造詣(ぞうけい)の深い人物)
彼はその要望に応えるべくOゲージとしては斬新的な方法による改造で、実機と同じ12軸駆動1-B-D-D-B-1の大幅性能向上モデルを実現させた。その内容は
1)まずB軸を動輪にする必要があり、モーター駆動するDからBにも回転力を伝え、実機と同じ片側六軸駆動方式とすること。
その際、D-B軸間を単純なカップリングで結合すると軸間に剪断力が掛かる構造となってしまうため、両軸間で力の許容できる
ユニバーサルジョイントで結合し、軸間に柔軟性を持たせる。
2)長大な機関車モデルの台車と動輪については、長軸台車にバネを取付るのではなく、全ての動輪個々にバネを取付け、それによりDとBがユニバーサルジョイントを介し振動、ブレを吸収できる構造にする。オリジナルモデルに採用されていた従来型ギア駆動方式ではソリッドな構造のため、駆動方式もベルトドライブ方式に変更する。
3)ベルトドライブ力の伝達は、モーターシャフトから伝達ベルトを介し直接駆動させるのではなく、ここでも上下左右柔軟性を保つため
簡単なユニバーサルジョイント機能を持たせた伝達方式とする。
4) ベルト自体はプーリーベルトなど単純な金属摩擦ベルトではなく、スリップすることなく回転力を十分伝える噛合わせベルトとし、
長時間安定したパワー伝達を実現させる柔軟、かつ耐久性に優れた素材ベルトを採用する。
5)動輪数を増やし出力アップを図ったため、駆動モータ-を交流式からパワフルな直流式に変更し、鉄道模型では世界的に定評ある強力なPITTMAN製(12VDC '74製)に交換、両区画(二台)に採用(従って給電も交流三線式から直流三線式とした)。
以上を満たすStu氏独自開発のKleinschmidtDriveと呼ばれる方式に改造した。
結局、KMTオリジナル下回り部品部材全交換となった為、新たにKES ENG社製品保証として、本品には製造番号No.028が刻印されている。尚、上回り(ボディー)もパンタ以外一部が補強され、特にウェイト追加とKleinschmidtDriveによる重量増加で、本体重量はOゲージとしては破格の約6kgとなった。
(Stu氏のコレクションやKleinschmidtDriveについてはブログ"Giants of the West"で紹介され、又その後もKMT製Oゲージ複式蒸気に
同Driveが採用されるに至り、このドライブの優秀性が伝承された)
こうして性能向上を求めた愛好家の要望を全て満たしたモデルは、当時通常流通する当時Oゲージモデルとは別格で、米国内市場、愛好家間でも最上モデルに分類され、オークションなど一般市場取引は勿論、愛好家間でも滅多に取引される事のないOゲージハンドメイドドライブの傑作品とされた。
本品は米国在住中愛好家のご厚意で特別に入手でき、帰国に際し日本に持ち帰れたもので、当時のKMT銘板がそのまま上面に取付けられた専用木箱に収納されています。
製造から半世紀程度経過しておりますが走行、ヘッドライト点灯共にOK(但し、ライト配線は内部点検時支障になるため敢えて結線せずに
しておりましたので、必要に応じ結線要)。
上回り部品部材には経年による損耗、汚れ、半田外れ、部材曲がり、塗装剥離(含タッチアップ跡)、片側ベルと手摺一箇所代品、
台車下部ロッド一本欠あり。
以上含まえ応札ご検討下さい。
サイズ 本体全長約47cm 重量約6kg、 木箱長さ約60cm 幅12cm 高さ22cm 厚スポンジ付専用木箱入り総重量約9.5kg