LED ZEPPELIN 1980 TOUR OVER COLOGNE 2CD

LED ZEPPELIN 1980 TOUR OVER COLOGNE 2CD 收藏

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■ツアー二日目1980年6月18日ケルン公演をサウンドボード収録。
■欠落部分を同日オーディエンス音源で補完して完全収録。

レッド・ツェッペリンは1968年にデビューしたのだが、結成当初、ジミー・ペイジはバンドの方向性としてアコースティックを志向するか、或いはハードロック路線で行くかと迷ったという。そして最終的にハードロックを選択したのは、ひとえにボンゾの存在があったからではないかと思われる。それを決断させるくらいボンゾのドラミングは独特なものであり、他のドラマーとは一線を画す比類なきものであった。ジミヘンが後にも先にも類似の存在を許さなかったように、ボンゾもまたドラムにおけるジミヘン的な存在であると言える。ジョン・ポール・ジョーンズは小さなスタジオで初めて4人揃ってセッションした時の印象として「ジョン・ボーナムの演奏を聴いて、このバンドが偉大になると確信した」と語っている。ツェッペリンの音楽性を決定づけたのは、まさにボンゾの存在が大きく影響していると言えよう。

70年代を一気に駆け抜けたツェッペリンは、時代を形成した「そのディケイド」の象徴とも言える存在であった。しかし楽器と異なり自身の発声を披露せねばならないプラントは、バンド初期からの喉の酷使がたたり、1973年のツアー後に、痛めた喉の手術に踏み切る。そのためデビュー以後毎年行われていたツアーは1974年に限って行なわれていない。そして術後の回復を待って1975年に再び大規模な全米ツアー、さらに伝説的なロンドンはアールズ・コート連続公演を行なった。1年のブランクを経て再びツェッペリンが始動したのである。しかしバンドを次々に襲う不幸は、この後も活動を大いに制限する結果となる。まず1975年、プラントが自動車事故で両足を骨折、ツアーは中止され、再び治療に専念することになった。そのため1974年に続いて1976年もツアーは行なわれなかった。この間にレコーディングされた『プレゼンス』は、プラントは車椅子に座ったまま歌ったと伝えられる。

1977年にバンドは再び始動を図る。プラントは歌唱法を変え、また機材の助けを借り、偉大なレッド・ツェッペリンよ再びと、これまでにない大規模な全米ツアーを行なった。この1977年のツアーは名演揃いであり、当時のニューアルバム『プレゼンス』の完成度と相俟って、ファンの間でも非常に人気の高いツアーである。特にMSGとLAにおける連続公演はツェッペリン史上に残る重要なコンサートとして位置づけられている。しかしツアーの後半、今度はプラントの長男カラックがウイルス性感染症で死去するという不幸が訪れる。息子の死にショックを受けたプラントと共に、バンドは無期限の活動中止を余儀なくされてしまう。

デビュー以来、大規模なツアーを大小織り交ぜて行なってきたレッド・ツェッペリンであったが、1974年、1976年に続いて、1978年も一切のツアーを行なえる状態でなかった。その後1979年にネブワース・フェスに出演し2公演、そのウォーミング・アップ・ギグとしてコペンハーゲンで2公演を行ない、合計4公演をこの年に行なっているが、それまでのバンドとは程遠く精彩を欠くものであった感は否めない。それはバンドのブランクやプラントの状態なども影響しているだろうが、何よりツェッペリンの音楽性が時代の調和と少し外れたものになっていたことが最大の理由ではないだろうか。

1970年代後半、時代はパンクが全盛を迎えていた。反体制の過激な歌詞をシンプルかつ稚拙ながら攻撃的な演奏スタイルで歌う、そして音楽のみならずファッションに至るまで、トータルな生き様としてのパンクが若者に大いに受け入れられており、レッド・ツェッペリンなどは巨大な存在になり過ぎて身動きがとれなくなった恐竜のような古い存在と見做されていた。時代は刻々と変化していたこと、それをツェッペリンも意識せざるを得ない時期が来ていたのである。

アルバム『イン・スルー・ジ・アウトドア』は1978年11月にレコーディングが始まり、翌1979年にリリースされた。それまでバンドの主導権を握っていたのは常にジミー・ペイジであったが、このアルバムはジョン・ポール・ジョーンズにその主導権を譲り渡したかのように、彼の色彩が色濃く反映されたものとなっている。前作『プレゼンス』がキーボードレスのアルバムだったのとは対照的に、このアルバムではキーボードが前面に押し出され、作曲においてもジミーを上回る曲数でクレジットされている。そして、このアルバムの発表に伴い、1980年に欧州ツアーが発表されるのであった。TOUR OVER EUROPEと題された3年ぶりのツアーは、後に予定している全米ツアーの予行のような位置づけでもあったのであろう、全14公演と小規模なものであり、マスコミが辛口な英国を避け、西ドイツを中心とした欧州を回ることが発表されたのである。

【1980年 TOUR OVER EUROPE】
1980年の欧州ツアーは、サウンドボード音源がここまで広く流通している現在とは異なり、リアルタイムでは謎に包まれたツアーであった。写真で見ることの出来るステージの様子は、ジーンズにTシャツというラフなスタイルのプラントに、髪を短く刈り込んだジョン・ポール・ジョーンズ、かつての70年代の雰囲気を一掃し、これから迎える80年代を強く意識したものとなっている。そしてステージにおいては、驚くべきことにジミー・ペイジがMCをしゃべっているのも、従来見られなかった光景である。ツェッペリン自身が、新しい時代のスタイルを模索していたのかもしれない。しかし一方で、時代を作るのではなく、時代に即すという、いわば迎合的な姿勢は、バンドの保守化と終焉を予感させられるものでもあった。

コンサートは意外や1969年当時と同じヤードバーズの「Train Kept A Rollin’」で開幕する。長いブランク開けに際し、原点回帰しようという意識の表れであったのかもしれない。ニュー・アルバム『イン・スルー・ジ・アウトドア』からは「In The Evening」「Hot Dog」「All My Love」の3曲にとどまっており、それ以外は全て過去の曲の再演となっている。また全体的にコンパクトな構成で、ショウは全体で2時間程度の長さに収まっている。長大な「幻惑されて」や「ノー・クォーター」、「モビーディック」などは全て省かれ、非常にシンプルなステージである。コンサート本編は各公演共通だが、アンコールがほぼ日替わりのセットリストとなっている。

【1980年6月18日 COLOGNE公演】
大聖堂が鎮座するドイツはケルンにおけるコンサート。ドルトムントに続いてこの日がツアー二日目になる。この日のアンコールは「コミュニケーション・ブレイクダウン」である。既発盤が少ない公演であるが、高音質のサウンドボードで収録された優れたタイトルである。このサウンドボードは音質的には完璧なのだが、3曲においてカットがある。まず最初が「THE RAIN SONG」のエンディングの約30秒間、「ACHILLES LAST STAND」と「STAIRWAY TO HEAVEN」の曲中それぞれ約2分間である。本作ではそれらを初登場のオーディエンス音源で補完することによりコンサートを完全収録している。肝心のオーディエンス音源だが、時代が1980年なだけあって非常に優れたものであり、メインとなるサウンドボード音源と比較しても遜色なく、むしろこちらの方が良いのではないかと思わせる高音質なものである。編集個所を聞いても違和感はあまりないのが驚きである。

またWendyレーベルが常にそうであるようにピッチ調整も完璧に合わせてある。本作のメインとして使用されているサウンドボード音源はファースト・ジェネレーションという触れ込みであるが、おそらくマスターから落とす時のマーキングであろう、曲が始まってすぐといった中途半端な場所でピッチの変化が見られた。既発盤はそこまで厳密に行なわれていないザックリとしたピッチ調整にとどまっていたが、本作では細かくピッチを補正しプラマイゼロになっているのもアピール・ポイントである。

そしてボーナストラックとして、オーディエンス音源による補完が必要だった前述の3曲をオーディエンス音源で収録している。本編はサウンドボードがメインでそれを補完する形であったが、曲中カットがない状態で収録しようという意図で、ここにノーカット版として3曲のオーディエンス音源を収録している。

【TOUR OVER COLOGNE 1980】
本作はツアー二日目の1980年6月18日ケルン公演をサウンドボードで収録している。わずかな欠落部分は初登場のオーディエンス音源で補完し完全収録。いずれもファースト・ジェネのソースを使用しており、音質的にはこれ以上望めないものとなっている。ピッチ調整も完璧に調整が施してある。またボーナストラックとして本編ではSBD+AUDで補完されていた3曲のAUDのみの未編集バージョンを収録している。これにより音質的にも内容的にもベストタイトルとなっている。何より既発盤が少ないコンサートであるため、本作で初めて耳にするというファンも多いのではないだろうか。美しいピクチャーディスク仕様の永久保存がっちりプレス盤。日本語帯付。
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