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岩波文庫
①著者別番号：赤268-1
②作者：サミュエル・バトラー
③訳者：山本政喜
④発行日：1986年11月6日　第9刷（1935年2月25日　第1刷）
⑤装丁：帯あり、パラフィンなし　302頁　
⑥状態：普通　蔵書印なし、書き込みなし
⑦コメント：1986年秋の復刊の１点。極めて入手困難。
　サミュエル・バトラーの名は、『人生とは、人前でバイオリンを弾きながら、しだいに腕を上げてゆくようなものである』のような「名言」をやたら残しているので、よく聞くことがあるかもしれない。それにも関わらず、その著書について読んだことがない人がほとんどではないだろうか。本書『エレホン』はその著書のひとつ。「エレホン」とはNowhereの綴りを逆にして作った仮想国の名前である。本書は、その仮想国の見聞記という形式で書かれた価値逆転のユートピア的物語であり、宗教・教育・進化論・親子関係・機械文明など近代社会（おそらくヴィクトリア朝文明）に対する諷刺文学である。 ノスニボル（Nosbinor）という名の人物が出てくるが、これはRobinsonの綴りの逆になっているなど、細かい点にまで「逆転」が徹底している。また「犯罪」と「病気」の位置が逆転しているというのも面白い。「病気」は悪いことで、逆に「横領」は病気なのだ・・・。