2024 repress! エリス・レジーナを思わせるスイング感とエルザ・ソアーレスを髣髴とさせるソウルフルな歌声で、ブラジル音楽の世界で輝かしいキャリアを築くはずであったヂラだが、本作のレコーディング後すぐに、惜しくも交通事故により帰らぬ人となってしまう。そんなこともあってか彼女についての情報は極めて少ないが、本作品にコメントを寄せているアルノルド・メデイロス、そしてバックをドゥルヴァル・フェヘイラやオス・グリーロスといった当時の一流音楽家が務めていることからも、彼女が未来を嘱望されている存在であったことは容易に想像できるだろう。 ドラム・ブレイクからスタートするジャジーなトラック "Inz" を筆頭に、エリス・レジーナの歌唱でもおなじみのイヴァン・リンスの名曲 "Madelena"、ジョビン&ヴィニシウスのボサ・クラシック "O Morro No Tem Vez"、ハイテンポなジャズボサ的伴奏をバックに抜群のスイング感を披露する "Como Que Bicho?” や "Festa Para Um Rei Negro" ...。60年代後期から70年代初頭におけるブラジル音楽の充実っぷり、そしてMPB全盛期直前の混沌をも感じさせるその内容は、素晴らしいの一言である。 今回の初復刻にあたってリマスタリング、180グラム・ヴァイナル・プレスと仕様も文句なし。DJ やブラジル音楽ファンはもちろん、レアグルーヴ・ファン、ジャズ・ファンなど多くの音楽ファンに推薦したい歴史的名作である。 https://youtu.be/NFSxvi72fIk