■『印度小説觸るべからず(原題Untouchable)』
Murukku.Raj.Anand作。前田河廣一郎譯。装幀鈴木信太郎。
■譯者端書き・映画「印度への道」の原作者Edward.Morgan.Forster
が該小説の為に献呈した序詞・小説の触り部分を撮りましたので読ん
でみて下さい。
■印度の一地方都市に於ける糞尿処理を生業とする男の物語。印度に
於ける宿命、最底辺の生活者(Harijan=不可触民)の眼を通して、印度
社会に巣喰う問題を活写します。読めば大概貴方自身の幸福度が実感
出来ますね。唯の糞尿譚とは別の興味を懐かれると思います。日本に
も昭和30年代までは市井の汲取り便所の糞尿を桶に掬い、車で運搬す
る「肥やし屋」さんが居ましたが…。
●紙質経年劣化で焼け・滲み・痛みが有り大分襤褸けてます。
●本の背は御覧の通りです。題名紙で被膜されてます。
●巻頭の数頁が剥がれて分離します。孰れも写真で御判断下さい。
●全286頁。書き込み有りません。
●古書に不慣れな方、殊更神経過敏な方には先ず無理です。回避
為さるのが賢明かと思われます。爾後のClaim御容赦下さい。
●取引に際しては私の自己紹介欄をお読み下さい。
(2022年 11月 24日 18時 30分 追加)■上記説明を補足すると、横濱の昭和30年代の民家の便所は大概「汲取り式便所」でして、如上屎尿処理の「肥やし屋さん」は、普通貨物自動車に土葬の棺桶を一廻り小さくした様な円筒形の桶を8本積んで、回収先の民家に辿り着くや早速、天秤棒の両端に桶を吊して担ぎ上げると、腰を前後させ乍らBalanceを取って移動、便所の前の地面に桶を置くと早速作業開始。糞甕の外蓋を開け長い柄杓で目一杯屎尿を掬うのですが、桶に「ジャバジャバ」糞小便をおん捲ける時は其の反撥で、飛沫が肥やし屋さんの衣服に「パシャパシャ」掛かって居ましたね。
■職業に貴賎は無いとは言うものの、肥やし屋さんのオジサンは何も厭わずに黙々と作業を続行したものです。オジサンの仕事は立派。オジサンの前で偉そうな事は言えません。私は子供心に畏敬と感謝の気持ちを忘れなかったですね。作業が終わると私の明治生まれの祖母は、何時もオジサンを玄関に招き入れ、緑茶と茶菓子を提供し談笑してました。祖母も全然厭わなかったですね。
■軈て横濱にも清掃局のVacuum Carが登場。長いホースが内側を貫通する屎尿の摩擦で痙攣し、大蛇みたいに大きく蠢くのが子供心には怖かったですね。(笑)
■因みに隣国中国の田舎の家々は、人間様の居住空間は二階で階下は豚小屋に為ってるそうでして、二階の隅には便所が在って、穴から糞尿を階下に「バチャバチャ」と落下させる仕組み。飢えた豚は人間様の排泄した物を好餌として貪り喰うのだそうです。【家】という漢字を因数分解すると上の鍋蓋が屋根を意味し、鍋蓋の下の字は豚を意味するとか…。だから階下に豚が居ないと本当は【家】では無い様です。日本では結婚披露宴会場の入口に能く「〇〇家」「〇〇家」と掲げて有りますが、是はお笑い種、詰まりは語弊ですね。(笑)