・書籍名(英名): Eriosyce (Cactaceae) The genus revised and amplified -Succulent Plant Research Vol.1-
・著者名 : Fred Kattermann
・共著者名:Jonas M. Luthy, Robert S. Wallece, David Hunt, Nigel Taylor and Daniela Zappi
・編集:David Hunt & Nigel Taylor (Royal Botanic Gardens KEW)
・発行年:1994年
・形式 : 洋書(英語)、A4判、176ページ、ソフトカバー
こちらの書籍は余部があるため出品します。書店在庫の新古本のようです。ただし、背表紙から表紙の一部日焼けしています。中身は非常に綺麗な状態で、30年前の書籍としては状態は良好かと思います。
<説明>
本書は、エリオシケ属(Eriosyce)を本格的に収集・栽培するのであれば必須の文献となります。著者はアメリカ合衆国のアマチュアサボテン研究者のFred Kattermann(フレッド・カッターマン)となり、後に大著"The New Cactus Lexicon"の著者となるキューガーデン所属のDavid Huntとタッグを組んで同氏の自費出版(dh books)という形で世に出ることとなりました(このシリーズはD. Huntが逝去する前まで刊行され続けました)。このため、印刷部数が少なく、現在では入手難の1冊となっています。
内容としては、それまで大混乱していたEriosyceに関する総合的な分類学モノグラフとなります。現在のEriosyce属は、もともとEriosyce、Pyrrhocactus、Horridocactus、Islaya、Neochilenia、Neoporteria、Thelocephala、Chileorebutia等に割れており、所属する種の移動も激しい状態でしたが、本書で初めて、これら全てをEriosyce属に統合する説が提唱されました。
また、本書ではF. Kattermannが提唱した分類システムについて、以下の項目が収録されています。
・近縁属との比較及びEriosyceの統合論旨
・属以下の3節6亜節への検索表と記述
・33種20亜種39変種(全71分類単位)への検索表、形態記述や分布、コメント、写真、花・果実・種子の点描画
・Eriosyce lauiの新種記載
・種子の形態による系統分類
・本書発刊時における全シノニムリスト
本書の分類体系は、統合的な考え方をとっており、簡単に言えば種数をかなり減らしています。この関係で、サボテン園芸家からは不評を買っているようですが、本書内の全種に渡ってF. Kattermann本人が野外株を確認するために足を運んだFKナンバーで埋め尽くされている状況を見るに、その仕事量の凄みたるや半端ないと感じます。
実際に、発刊から四半世紀を過ぎているに関わらず、現在のEriosyceの分類体系は概ね本書の改定レベルに留まっており、当時のF. Kattermannの先見性が伺えます。また、本書の影の立役者がD. Huntとなり、しっかりとした分類学的な形式を編集でチェックし、出版まで面倒を見ているようです。個人的には、D. Huntが担当したシノニムリストの凄まじさに驚いたと共に、いまだにヘヴィーローテーションで使っている箇所となります。
サボテン関係で、ここまで使える文献はそこまで多くはありません。Eriosyceにご興味のある方は入手したいただければ、しばらくは毎晩のように読むようになるかと思います。