
■『単独旅行者』島尾敏雄著。装幀富士正晴。Apres-gverre新人創作選9。
昭和23年初版カバー帯。眞善美社發行。Apresgverre通信・眞善美社宛ての葉書付。帯付は稀覯本の範疇。
■島尾敏雄氏のアプレゲール(前衛)新人創作選の作品です。一時期都内の某古書展の硝子陳列ケースに置かれた文学初版本の中で、
【送電線電柱を背景に右掌手袋を翳したカバー絵】
が何とも意味深且つSurrealisticな感じで一際目立って居ました。昭和55年当時の古書価は160,000円でした。後年私も病膏肓と為り、神田神保町に在る某有名處の文学専門古書店で購入した時の古書価は140,000円です。なので出品価格を斟酌願えれば幸いです。
因みに 同Series の安部公房の『終りし道の標に』の初版帯付は 500,000円でして、驚くに値しないかと思われます。小説の梗概に就いてはWikipediaで御検索下さい。
●以前出品の物を写真撮り直して再出品したものです。
●紙質経年劣化が有るも、文学初版本愛好家なら許容の範疇です。
●唯一の瑕疵はカバー背と帯背に黒いInk様の汚れが一条有ります。
写真で御判断下さい。文学初版本愛好家ならParaffin紙で遮蔽する
処です。まあ蓼喰う虫も好き好きでしょうか。
●以前記した「遊び紙の分離」は紙用ボンドで完全補修しました。
●全223頁。書き込みは有りません。
●古書に不慣れな方、殊更神経過敏な方には不向きです。回避為さる
のが賢明かと思われます。爾後のClaimは何卒御容赦下さい。
●取引に際しては私の自己紹介欄をお読み下さい。
(2025年 3月 12日 5時 45分 追加)■文学初版本の帯の有無に就いて
嘗ての著名な古書肆で、故上野文庫社主の中川道弘氏の絶妙な古書川柳の中に、
「娘らの帯より高し本の帯」
と云う、正に其の物ずばりの一句が有りましたが、確かに帯一本で古書価に雲泥の差が有りますね。件の単独旅行者も又然りで、カバー帯欠だと状態に美醜の差が有るにせよ、精々10000円以内で買える範囲。安価だと5000円位ですね。なので川柳で詠まれた帯は其れを暗喩してます。
■私的には寧ろ装幀が良過ぎて、帯が有ると逆に趣を阻碍する本が在りますが、基本的には
浴衣の帯と一緒で無いと「だらしなく」感じ
て仕舞いますね。だから帯が有れば御の字です。