■ミックス解剖学
KTタンストール「フェード・ライク・ア・シャドウ」
by ルアディ・クシュナン
海外のトップ・エンジニアに自身の手掛けたヒット曲のミックス手法を直接解説してもらう本連載。今回登場していただくのは、イギリスの代表的なスタジオ、メトロポリスで経験を積み、現在はプライベート・スタジオの“ルバーブ”を拠点にフリーで活動を続けるプロデューサー/ミックス・エンジニアのルアディ・クシュナン。“質が高いサウンドに仕上げる”という部分に対して近視眼的にならず、より音楽的な視点からミックスを行うという彼独自の理念は、エンジニアリングの現場から退いていたある時期に開花したものだという。こういった彼のポリシーはアコースティックなシンガー・ソングライター、KTタンストールのニュー・アルバム『タイガー・スーツ』を見事にダンス・ミュージックへと昇華させたことからも明白だ。本稿ではそのミックス・スキルに迫っていきたい。