枕草子詳解 櫻の巻〈冒頭~「冬のいみじうさむきに」〉 松平 静著

枕草子詳解 櫻の巻〈冒頭~「冬のいみじうさむきに」〉 松平 静著 收藏

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22.1×14.9㎝

【扉】
上段に
 中等教育和漢文講義

  黒川眞賴閲   芳賀矢一序
  飯田武郷閲並序  松平 静著        版權所有
  黒川眞道序   渡邊文雄補助
枕の草紙詳解  三編
    東京 誠之堂發兌
    
【内容】
扉に「枕の草紙詳解  三編」とあるように、全体は三編に分かれていて、各編に「櫻の巻」のような副題が付いているようである。

「国文学研究資料館」の解説に依ると
(一) 櫻の巻
(二) 葵の巻
(三) 楓の巻 とあった。
**********************************************
山水画 〈蘭省花時錦張下 探香〉 折り込み一枚
序 飯田武郷(松平静書) 4頁
序 黒川眞道 明治三十一年十二月(宮本佐太書) 4頁

枕草子詳解序 芳賀矢一 紀元二千五百五十九年一月 4頁

緒言 松平花城 10頁
通解 1~60
 第一 この草紙のなりし頃の時勢
  第二 この時代の文學の況 23
 第三 著者清少納言 34~59
      清原系圖 60
枕草紙詳解第一 櫻の巻 1~338
       文學博士 黒川眞賴先生閲
                        飯田武郷先生閲
                        松 平  静著
冒頭 1~ 冬のいみじうさむきに 334


【第76段】冬の、いみじく寒きに、【ネットでの段】

以下『日本古典文学大系本』より抜粋。

【72】△夜烏どものゐて、夜中ばかりにいねさわぐ。落ちまどひ、木づたひて、寢起きたる聲に鳴きたるこそ、晝の目にたがひてをかしけれ。
【73】△しのびたる所にありては、夏こそをかしけれ。いみじくみじかき夜の明けぬるに、つゆ寢ずなりぬ。やがてよろづの所あけながらあれば、すずしく見えわたされたる。なほいますこしいふべきことのあれば、かたみにいらへなどする程に、ただゐたる上より、烏のたかく鳴きていくこそ、顯證なる心地してをかしけれ。

△また、***************************************************************
 冬の夜いみじうさむきに、うづもれ臥して聞くに、鐘の音の、ただ物の底なるやうにきこゆる、いとをかし。鳥の聲も、はじめは羽のうちに鳴くが、口を篭めながら鳴けば、いみじう物ふかくとほきが、明くるままにちかくきこゆるもをかし。
【74】△懸想人にて來たるはいふべきにもあらず、ただうち語らふも、また、さしもあらねど、おのづから來などもする人の、簾の内に人々あまたありて物などいふに、ゐ入りてとみも歸りげもなきを、供なるをのこ、童など、とかくさしのぞき、けしき見るに、「斧の柄も朽ちぬべきなめり」と、いとむつかしかめれば、長やかにうちあくびて、みそかにと思ひていふらめど、「あなわびし。煩惱苦惱かな。夜は夜中になりぬらむかし」といひたる、いみじう心づきなし。かのいふ者は、ともかくもおぼえず、このゐたる人こそ、をかしと見え聞えつることも、失するやうにおぼゆれ。
△また、さいと色に出でてはえいはず、「あな」と高やかにうちいひ、うめきたるも、「下行く水の」といとほし。
△立蔀・透垣などのもとにて、「雨降りぬべし」など聞えごつもいとにくし。いとよき人の御供人などは、さもなし。君たちなどのほどはよろし。それより下れる際は、みなさやうにぞある。あまたあらん中にも、心ばへ見てぞ率てありかまほしき。
**********************************************************************
【因みに】【第76段】冬の、いみじく寒きに、とあるのはネットで探したテキストに付けられていた段。(これが一般的な「段」なのかも知れない)
 引用した文は岩波書店の『日本古典文学大系本』各本の電子化されたテキストを借用したもの。「段」もそれにつけられたものである。
 出品本がどの系統の『枕草子』なのか判らないが、『大系本』と比べてかなり違う。
【刊期等】
明治32年2月1日印刷
明治32年2月5日發行
明治32年5月  再版
誠之堂書店


※全体的に、経年によるくすみ、汚れあり。
※経年による紙の劣化、変色、斑点状の染み、多数あり。
※梱包材の再利用に努めています。ご理解下さい。
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