函スレ、角部傷みあり
図録本体は2冊ともとてもきれいです。
「韓国古代文化展 あいさつ
韓国古美術の日本での展示は、これまでもいろいろな形で開かれ、両国民の間の相互理解を助ける ために役立っております。
今回の展覧会は日本の古代、とくに飛鳥・奈良時代と文化的にも密接なつながりをもっていた新羅 時代の文物のみを選び、“新羅千年の美”と副題したものです。この新羅文化の展覧会を韓日共同して 開催するに至ったことをたいへんうれしく思います。
この特別展示を一層意義あるものにするため、私たちはその出品物のほとんどを日本ではじめて公 する遺物で構成致しました。
この展覧会を実現するに当って、東京国立博物館,名古屋市博物館,福岡市美術館,中日新聞社, 日本放送協会など関係者の皆さまの協力と労苦とにあらためて感謝申し上げると共に、このような交 注を通じて両国の博物館が一層の紐帯を深め、将来このような展観が一方通行ではなく、文字どお りの相互交流という形で行われることを深く望んでおります。
1983年8月
韓国国立博物館
新安海底引揚げ文物挨拶文
1976年早春,大韓民国全羅南道新安郡智島色道徳島の沖合に、大量の陶磁器を積んだ船が沈没して いることがわかり、政府の手で大規模な海底調査、引揚げ作業が行なわれ、現在までに中国宋,元時 代の陶磁一万数千点を始め、十数トンの銅銭、高麗青磁や日本の古瀬戸、金属製品、漆器などが引 揚げられております。
最近発見された木簡には至治3年(1323)の銘があり、この船は同年に沈没した中国元時代の貿易船 であり、日本へ向かうものであったことが明らかにされました、660年の眠りからさめた、こうした古 文化財は、考古学、陶磁史はむろんのこと、広く文化史の分野での研究に役立つところ大であると思 われます。
このたび「韓国古代文化展」と同時に展覧する「新安海底引揚げ文物」は、ぼう大な資料のうちから
約100点を選び出し、世界に先がけて初公開するものであり、本年8月31日から9月7日まで、東京 京都で開催される第31回国際アジア・北アフリカ人文科学会議(国際東洋学会議)にあわせて、特別に 企画されたものでもあります。
本展覧の実現にあたり、出陣に格別のご高配を賜った大韓民国政府、韓国国立中央博物館に対し、 衷心より感謝の意を表するものであります。
1983年8月
東京国立博物館
東京新聞 中日新聞 日本放送協会」