本出品で歳末セールは終了です。併せて、これが今年最後の出品となります。セールにしては値が張ると思われるかもしれません。しかし、インドネシア染織の一級品であり、この布の希少さや世界的な評価をご存じの方には、大変リーズナブルかと思います。
これは、インドネシア バリ島 トゥガナン村で織られた「グリンシン」という布です。40年以上保管していた当方のイカットの中で最も評価の高い布でもあります。断片や途中で継ぎのあるのはごくたまに見かけても、このように全体が残っているグリンシンが一般に出ることはまず無いでしょう。古布がお好きなコレクターの方に持っていただければと願っています。
長さ約228㎝×幅約43㎝(含 両端の房)、天然染料・手紡ぎ木綿で織られた19世紀末から20世紀初頭にかけての古グリンシンであることを保証します。存在感が抜群で、本物の持つ力強さと神々しさが感じられます。
グリンシンは現地語で、「災いが無い、無病息災」を意味し、魔除けの布、神聖な祈りの布として受け継がれ、儀式において代々使用されてきました。現在でも観光客向けに織られていますが、比較的新しいものでも高価です。こちらは、近年の複製とは染料の深みや手紡ぎ糸の繊細さ、絣織の技術において質が違います。4枚目の糸のアップ画像をご覧いただくと時代ある布だとお分かりいただけるでしょう。年代は一応、〜20世紀初頭としましたが、経年による繊維の乾燥具合から、19世紀末まで遡る布であると思います。
インドのパトラ同様、経糸と緯糸の両方で模様を織り上げる経緯絣(たてよこがすり)であるグリンシンは、一枚を織り上げるのに10年近い長い年月と非常に高度な技術を要します。そのため、本物を一枚は所有してみたいと願う染織コレクター垂涎の布でもあります。
こちらのグリンシンの優れている点は、色合いが抜群である点です。退色がほとんどなく、グリンシン特有の深く神々しい色合いが残っています。先祖代々受け継がれ、儀式で使用されてきた布であるため、古いグリンシンは一般に傷みが激しいものです。切断して兄弟に分け与えるなどして途中で継ぎ合わされているものもあり注意を要する布ですが、この布は後述の補修や傷みはあるものの継ぎ合わされている箇所等が無く、この時代のグリンシンとしては、状態は許容範囲でしょう。
以下、状態です。5〜7枚目の3分割画像でご確認ください。傷みが目立つように白い布を敷いて撮影しました。白い部分に小穴があります。黄色囲み部分に補修が入っており、青い囲み部分は、縫って補修されています。ただ、白布上ですので傷み箇所が目立つもののボロボロという感じではありません。実際に見た感じは、2、3枚目画像のようにあまり気にならないでしょう。例えば、一番傷みが集まっている手間の部分(7枚目画像の緑色で囲んだ部分)をアップで撮影したのが8枚目画像です。これを見ると表側からは補修箇所はあまり気にならないかと思います。9枚目画像は、8枚目画像の赤い囲み部分の裏側です。裏側から、表側の傷み部分より大きなサイズの別のグリンシン断片を使って補修されていることが分かります。
古い現地の補修であり、使われているのは古いグリンシン片ですので、このグリンシンは霊力があるとされ、代々大切に受け継がれてきた布なのだと思います。各画像でご確認の上、傷みや補修も大切にされてきたオリジナルである証と受け止め、古布にご理解のある方のみ、ご入札をお願いいたします。傷みを気になさる方、新しい布をお求めの方は、ご入札をお控えください。
このように古いグリンシンは、既に博物館等に納まってしまい、一般に出ることはまず無いでしょう。10枚目画像で、左側とその解説は「インドネシア染織体系」掲載の布で、右下が「広島県立博物館」所蔵の同手のグリンシンです。この布の希少さがお分かりになる方で、大切に引き継いでくださる方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。
※ 長年巻いて保管していましたので、芯に巻いた状態(80サイズ)で発送しますことをご了承願います。繊維に負荷をかけずに、古い布の保管には一番良いです。
※ 悪い評価が大変多く、お取引に不安を感じる方は、入札時や落札時に削除をさせていただくことがありますので、予めご了承ください。年末に入りますので、落札日翌日までにご決済をいただける方のみ、ご入札をお願いいたします。落札後に理由無くご連絡をいただけない方や到着後に受け取り連絡をいただけない方は、申し訳ありませんが以降の入札は、ご遠慮いただいています。
※ 午前中までにご決済をいただいた場合は、その日のうちに発送いたします。午後以降にご決済いただいた場合は、翌日の発送となります。また、落札後のこちらからの評価は、評価をくださった方のみとしておりますので、ご了承願います。